「RICOH360フォトコンテスト2024」 入賞作品発表

2024年8月1日(木)〜2025年1月5日(日)で実施した「RICOH360フォトコンテスト2024」の入賞作品、及び各テーマ・部門のグランプリと準グランプリ、スペシャルゲスト賞を決定しましたので発表します。

 

たくさんのご応募ありがとうございました。

厳正なる審査を経て、募集テーマ・部門「いろんな360映えを探そう! フォルム・空間部門」「一人でも大勢でも楽しい!   セルフィ・集合写真・スナップ部門」「お気に入りの光景を全天球で写そう! ネイチャー・風景部門」「スペシャルゲスト賞」のそれぞれに対して選出しています。

 

入賞された皆様、おめでとうございます。

 

なお、入賞作品はRICOH360公式写真展 「Beauty is all around」 で展示いたします。

 

ウェルティブギンザスタジオ 東京都中央区銀座4-1 西銀座デパート地下1F  

展示期間:2025年3月18日(火)~23日(日)

入場料:無料

【グランプリ】

いろんな360映えを探そう! フォルム・空間部門

坂部篤志              「常陸国出雲大社の大しめ縄と拝殿」

選評:「常陸国出雲大社の大しめ縄と拝殿」は、全天球の空間性質を見事に活用した作品だ。写真には立体である現実世界を平面へと変換する過程で、被写体同士の自然な距離感や奥行きが失われるという特性がある。しかし、この一見制約とも思える特徴を表現手法として利用することで、被写体同士の距離感を意図的に解体し、神聖な空間全体を一つの統一された視覚的デザインとして提示することに成功しているのが本作品である。パノラマを縦に使う構図は、大国主大神のご神像から荘厳な拝殿、そして見る者の心を圧倒する堂々たるしめ縄まで、神域を構成するすべての要素が見事に調和する作品を実現し、「仰ぎ見る」視点と「見下ろす」視点を同時に取り入れることで、従来の写真表現では難しかった新しい空間把握の可能性を示すことができている。また、神域本来の厳かで神聖な雰囲気を保ちながら、写真全体の明瞭さや細部の視認性を、適切な露出と現像で再現し、外から差し込む光も美しく後光のような印象を与える。結果、圧倒的な存在感を放つ大しめ縄の全体像を、客観的かつ斬新な視点で捉えた秀作として高く評価できる作品となった。

(シンヤB)

一人でも大勢でも楽しい!   セルフィ・集合写真・スナップ部門

さつき    「colorful」

選評:色違いのワンピースと帽子姿で揃いのポーズをきめた10人のカメラ女子。緑豊かな公園での撮影は衣装との相性も抜群で、360度カメラで撮る集合写真の王道ともいえる輪を作った構図が美しく映えています。審査のために卓上に並べられた応募作品の中で、このカラフルでシンプルな構成が際立ち目を引きました。皆さんであれこれと試しながら撮影を楽しむ様子が想像でき、「賞は私たちが頂くわ!」という意気込みまでも感じられる生き生きとした集合写真です。見事なチームワークによるグランプリの受賞、誠におめでとうございます!
(宇佐見健)

お気に入りの光景を全天球で写そう! ネイチャー・風景部門

興梠寿宏              「まわりてめぐる」

選評:素晴らしいコンポジションです。自然界の温かみ、静謐、多様性、ざわめき、鳴き声、匂い、肌触り、明暗、輝き、リフレクション……。すべてがここに凝縮されています。それを表現するTHETAのポテンシャルを活かし切った手法がまた格別。

水面の反射を巧みに用いています。作品上部に立っている(ように見える)3人。いずれも水面に反射した像です。実際の人は逆立ちしている側。通常のカメラで水面を撮影して上下を逆にする一般的な画法を、THETAによって1枚の中で実現したのです。最初からそれを狙って撮影したのか、撮影後にアプリ内で構成していく中で気づいたのか。どちらでも良い。元画像左右のリフレクションによる鏡像を画面上部に配し、その人々に視線を注ぐ中央の自分とともに4人の円(縁)を描き上げたコンポジションが秀逸!!

ネイチャーが織りなす美しい円形は月桂樹の冠のように見えます。自然が生む鏡像で描く月桂冠。まさしくグランプリにふさわしい!!
(塩澤一洋)

【準グランプリ】

いろんな360映えを探そう! フォルム・空間部門 

@theta_ichiroo 「日常が戻ったハマスタ」

選評:スタジアムは広大な空間が映える定番の撮影スポットですが、被写体のほとんどが小さく写り、その場の賑わいはスポイルされてしまいがち。しかし本作品では開幕戦の夜空へ4年ぶりに放たれた風船がランダムに舞う様子や、打ち上げ花火の瞬間が動きや歓声までも連想させて臨場感をじゅうぶんに伝えています。シンメトリックな構図を得るための撮影ポジション決めや、手持ちHDRモードの選択、遠近バランスの良い切り出し方など綿密な計画と確かな撮影・編集テクニックによる完成度の高さは秀逸です。準グランプリの受賞、おめでとうございます!

(宇佐見健)

一人でも大勢でも楽しい!   セルフィ・集合写真・スナップ部門

こなこ    「フカ」

選評:THETAの特性を巧みに使った躍動感。素晴らしいセルフィです。

鮮やかな白木の床が高座を丸く取り囲む。見る者の視線をグッと引き込んでゆく。朱色の座布団が映え、羽織紐、そして客席の間を抜ける床へと朱が連なり、濃い青の座席とのコントラストにより淡い着物が目を惹く。真上の天井にあるはずのライトが背後から主役を照らす。ステージング、完璧。

優しい手の丸み、腕の湾曲、スッと伸びた姿勢が、面白みに満ちた表情に視線を誘導する。カメラに対してやや開き気味な胸の向きに、聴衆を高座にいざなう気持ちが表れている。扇子の角度もセンスいい。お腹から響く声が会場全体に共鳴する振動まで伝わってくるよう。

この寄席でこの噺家さんの落語を聴きたい!!と感じさせる魅力に満ちています。万全のステージングから身体の隅々に意識が行き届いたポージングまで絶妙。これぞセルフィ!!

(塩澤一洋)

お気に入りの光景を全天球で写そう! ネイチャー・風景部門

ねみぎ 「パノラマ夕焼けリフレクション」

選評:「パノラマ夕焼けリフレクション」は、写真の本質である「瞬間の永遠化」を見事に体現した作品だ。水平線を挟んで展開される構図はシンメトリーを作り出し、オレンジから青・紫へと変化する色彩のグラデーションが素晴らしい技術で捉えられている。360度パノラマによる歪みを最小限に抑えながら、画面全体の透明感とシャープさを両立させているのが素晴らしく、人物の配置も絶妙である。左から右へと点在する人物のシルエットは、風景のスケール感を強調するとともに、観る者に「人間と自然の関係性」を想起させる仕掛けとして機能している。特に中央に立つ人物は、観察者であると同時に風景の一部として作品に溶け込み、見る者の視点を自然に誘導する役割となった。デジタル技術の進歩により、かつては困難だった表現が容易になった現代において、この作品は単なる技術の誇示に留まらず、自然の壮大さと人間の存在を調和させた新しい風景写真の可能性を示すことができた。人物を含む風景写真は往々にして説明的になりがちだが、観る者の想像力を刺激する余白を残すことに成功した秀作として高く評価できる作品である。

(シンヤB)

スペシャルゲスト賞

さとうじゅんこ 「アンブレラスカイ」

選評:色とりどりの傘が溢れる、不思議な雰囲気を纏うお写真だなぁと、一目見て心が奪われました。また同時にTHETAでこんな写真が撮れるなんて!とも感動しました。 色も傘の大きさも下から上にかけてグラデーションになっており、そのおかげでクラゲに見立てた傘がゆらゆらと青空に飛んでいきそうな雰囲気にもなっていると思います。目の付け所、編集の仕方も素晴らしいと思い選出させてもらいました!

(wacamera)

スペシャルゲスト賞

ぼんごれ 「桃源郷を覗く者」

選評:まずはじめに作品としてのインパクトの強さに目を惹かれました。シュルレアリスムの絵画を見ている様な全体のビジュアルと小道具の使い方や演出が高い完成度を作り出しています。これぞTHETAでなければ撮影できないワンシーンであり、要所要所に見られる創意工夫が見事にマッチしています。編集前の元の画像でも十分面白い作品なのですが編集後の全体のバランスと構図もかなり考えられて作られたのが伝わってきます。アイデアを思いついてワクワクしながら準備をはじめて、そんな気持ちで撮影をされたのではないでしょうか。想像を形にする楽しさを改めて教えていただいた一枚です。

(木村琢磨)

 

【入賞作品】