世界中のパノラマフォトグラファーたちに活用されている、360度カメラTHETA(シータ)のフラッグシップモデル、RICOH THETA Z1。特にこの一年はコロナ・パンデミックの影響で、画像だけで360度空間を伝えることができるTHETAが、施設や不動産物件のバーチャルツアーなど、世界中の様々なシーンで広く活用されるきっかけにもなりました。
そんな中、先日実施されたWebinerイベント。海外のパノラマフォトグラファーの中でも、THETA Z1を活用しているSam Rohn (US)、Mic Ty(US)、Daniel Pharaoh(UK)の3名に、THETA Z1をテーマに自由にディスカッションして頂きました!
個性豊かなパネリストたちによる、ディスカッション。テーマは、今年発売されたTHETA Z1 51GBのメリットや、先日リリースされたTHETA Z1の機能ファームウェアアップデート、THETA Z1を活用した画像編集のワークフロー、また、最近のバーチャルツアー撮影のニーズなど、多岐に及びました。
ここでは、そこで話題になった内容の一部をご紹介します!
バーチャルツアー撮影ニーズの変化
コロナ・パンデミックが始まる以前から、THETAで撮影した360度画像を活用したバーチャルツアーは、不動産業を中心に世界中で広まりつつありました。そのニーズが短期間で劇的に増えたきっかけが、コロナ・パンデミックでした。
実際に足を運んで内覧ができない状況下でも、空間を遠隔で伝えることができる不動産業でのバーチャルツアー。またそれだけでなく、現場の進捗をリモートで管理したいという建設業でも、360度カメラが広く活用されるようになったのです。
Youtuberでもあり、パノラマフォトグラファーでもあるMic Tyは、この1年の間にバーチャルツアー撮影の依頼が急増し、特にここ2か月間も依頼は増え続けているというエピソードを話してくれました。
Daniel Pharaoh(360guy)が住むイギリスにおいても、この1年でさまざまな施設や不動産物件が、360度画像のバーチャルツアーで表現されるようになったということでした。最近は特に施設や不動産のオーナーからも、簡単・高画質なバーチャルツアー撮影にトライしたいので教えてほしい、という要望が増えているようです。
プロのパノラマフォトグラファーでなくても、簡単に高画質な360度バーチャルツアー撮影を可能とするTHETA Z1は、そういったバーチャルツアー撮影初心者にとってもおススメ、というのがDanielのコメントでした。
左: Mic ty 右:Daniel Pharaoh
THETA Z1で撮影するバーチャルツアー
THETA Z1は、バーチャルツアー撮影をビジネスにしている彼らにとって、便利なアイテムのひとつです。ニューヨーク在住のパノラマフォトグラファー Sam Rohnは、「THETA Z1の、ポケットに入れて持ち運べるようなコンパクトさと、RAWデータを使って画像編集することができるポテンシャルがとても気に入っている」と語ってくれました。
photo by Sam Rohn (Single DNG)
また最近のTHETA Z1のファームアップによって、「RAW+HDR合成」の撮影が手軽に出来るようになったことは、RAW編集を重視するSamにとって大きな機能アップだったそうです。その他にも、最大9枚の露出を変えたHDR-DNGの合成が瞬時に可能になった「Dual Fisheye RAWプラグイン」のリリースにより、より高画質な撮影が、より短時間で実現できるようになった点も、高く評価していました。
Mic tyは「クライアントが満足するような高画質な360度バーチャルツアーを、カメラ初心者でも簡単に撮影・編集することができる点がTHETA Z1の強みだ」と紹介していました。
左:Sam Rohn 右:Mic ty
THETA Z1の現像ワークフロー
Mic tyもSamと同じように、今年の6月にリリースされたTHETA Z1の新たな本体ファームウェアバージョンアップで、従来のRAW撮影だけでなくRAWでもHDR合成撮影ができるようになり、THETA Z1の機能が大幅にアップしたと感じているとのこと。
通常であれば、これだけでも最高の画像で現像することができるそうですが、彼がSam同様に気に入っているのは、Ichi Hirotaさんという個人のプラグイン開発者がリリースした「Dual Fisheye プラグイン」の「HDR-DNGモード」だそうです。
Photo by Sam Rohn (HDR-DNG)
最大9枚の露出を変えたRAW(DNG)データを、THETA Z1本体内で瞬時に1枚のRAW(DNG)として記録してくれる機能で、世界中のバーチャルツアー目的の撮影で、広く活用されているプラグインだそうです。Youtube上でも、さまざまなパノラマ撮影のYoutuberが、こぞって絶賛してくれている機能ですね。
Dual FisheyeプラグインのHDR-DNGモードや、THETA Z1自体のRAW+HDRモードで撮影することのメリットは、窓の外の風景が白飛びするのを軽減して、明暗差を抑えた編集がとても綺麗で簡単なことです。
Mic tyのDual Fisheyeプラグイン画像の事例
上は、MicがDual Fisheyeプラグインを使って撮影・現像した画像です。Beforeのように、窓の外が白飛びしている箇所も、Dual Fisheye プラグインのHDR-DNGモードを使って撮影・現像することで、明暗差を抑え、綺麗に表現することができる、と紹介してくれました。
Danielは、初心者にTHETA Z1の使い方を教えるケースが多く、
① JPEGでのHDR合成撮影
② RAW(DNG)での撮影・現像
③ Dual FisheyeプラグインのHDR-DNGでの撮影・現像
という順番でレクチャーを行っているそうです。
②と③はAdobe Lightroom Classicでの現像が必要になります。そのためAdobe Lightroom Classicを使ったことない人だと、「難しそう!」という反応になるそうですが、実際はとても簡単なフローで、画像を大きく変えることができるのです。
窓が多いDaniel自身の部屋は、THETA Z1の現像の強みが良く分かる作例に最適です。Webinerでは、実際に彼が良く作例紹介でも使っているという、彼の部屋を使って現像のコツを教えてくれました。
「ハイライトを下げて、シャドウを少し上げる。このくらいで、窓の外の明暗差が劇的に変わるんだ」
という紹介をしてくれました。
<Sample photo that Daniel edited with Lightroom>
他の360度カメラと比較したTHETA Z1の強み
Mic ty は、カメラの画質比較の達人です!360 Rumorsという彼が運営しているWebsiteでは、様々な360度カメラの画質を比較し、詳しく紹介しています。
そんなMicが評価するTHETA Z1のポイントは「高画質な360度画像を、短時間に編集することができる点」とのこと。他の360度カメラに比べると値段は少し高めですが、「1型センサー搭載でこの値段は、決して高くない」というのが、Micの意見です。
その点は、SamやDanielもその点は同じコメントでした。
Samからは「THETA Z1の発売から2年以上経っているけど、今でも自分にとってはTHETA Z1が一番だ。バーチャルツアー撮影だけじゃなく、ポケットに入れて持ち運び、色々撮影するのも楽しい」という嬉しいコメントを聞くことができました!
Photo by Sam Rohn (HDR-DNG)
Benefits of the Z1 51GB and new firmware
Webinerに参加している視聴者からは早速「THETA Z1 51GBモデルになったメリットは?」という質問も。
Micからは「RAWデータで撮影すると、従来の19GBモデルでは容量がすぐに足りなくなる。画像品質の高いRAW撮影・現像するようなバーチャルツアー撮影をする場合は、51GBくらいの容量があると、とてもありがたい!」というコメント。
Danielも「データを頻繁にPCに移すことを忘れがちだったりするので、51GBも容量があると安心感がある。大きな機能のアップグレードではないかもしれないけど、以前から求められていた機能アップのひとつではあるよ」とのことでした。
Samからは「51GBに容量が増えただけでなく、THETA Z1本体を最新にファームウェアアップデートすることで、RAWでHDR合成撮影ができる機能も加わった。これは、新機種の機能追加に相当するような大きな機能アップなので、ぜひTHETA Z1を持っている人は、ぜひ試してみてほしい」とのことでした。
360度パノラマ撮影について、色々な情報発信をしているSamとMicとDaniel。
この1年のバーチャルツアー撮影の市場の変化や、THETA Z1の新しいファームアップによる機能追加、Dual Fisheyeプラグインの活用など、1時間のWebinerでは話は尽きませんでした!
詳細のWebinerの雰囲気を知りたい方は、ぜひYoutubeをご覧ください!
今後もまた、このようなオンラインで世界がつながるイベントを企画していきたいと思います。
編集:平川