ユーチン・グオさんは、北京に住む360°カメラのテック・エキスパート。YouTubeをはじめとしたSNSで、さまざまなVRデバイスの特徴などを詳しくレビューしています。開発者でもあるユーチンさんは、技術的な知識にとても詳しく、それだけでなく360°パノラマ撮影に関する賞も受賞しています。
今回はそんなユーチンさんに、パノラマ撮影を始めたきっかけや、ユーチンさん愛用のTHETA Z1、また海外で先行発売となったTHETA Xについてお話を伺いました!
Sunflowers (Silver Award in EPSON Panoaward 2019 , shot with THETA Z1)
360°パノラマ撮影との出会い
ユーチンさんはさまざまな360°カメラを、技術的な面も含めて詳しくSNSで分析・解説されていますね。
2008年に初めてデジル一眼レフカメラを使い始め、それ以来、パノラマの撮影にのめり込んでいきました。現在は特に360°カメラでの撮影が好きで、周りからはマニアックすぎると言われることもあるくらいです。私はもともとメカやエレクトロニクスが大好きで、技術オタクな面があります。自分の技術的な視点で、いつもまざまな360°カメラやVRデバイスを研究しています。
360°カメラを使い始めたのは、2014年からです。それ以来、現在市場に出回っているほぼすべてのコンシューマー・プロシューマー向けの360°カメラを試してきました。
THETA Z1 :Dual Fishsheye RAW
ほぼすべての360°カメラを試されたとは、すごいですね!なぜ、ユーチンさんは360°カメラにのめり込んでいったのでしょうか?
360°撮影に興味を持ち始めたのは、2008年に北京オリンピックの閉会式で見た光景がきっかけです。閉会式ではとても壮大な360°パノラマのシーンがあり、それを見た私は「まるで魔法みたいだ!」と大きく感動しました。それ以来、私は360°撮影の技術を模索し始めたのです。
Shooting with THETA Z1
当初私は「360°撮影なんて簡単にできるはず」と思い込んでいました。当時は一眼レフを使っていたのですが「ただ撮影して、それをパノラマに繋ぎ合わせるだけだろう」と。私はすぐに、その思い込みは間違いだと気が付きました。パノラマ画像を正確に作り上げる技術は難易度が非常に高く、それを習得することは、そう簡単ではなかったのです。
それ以来、360°制作について必要なことを、ゼロからすべて学び始めました。当時の私にとって、それは全く新しい世界に踏み込んだような気持ちでもありました。
RICOH THETA とTHETA Z1について
THETAシリーズは、いつから使い始めたのでしょうか
2015年に初めて買ったTHETA Sが、私のTHETAとの最初の出会いです。2015年に、プラハのIVRPA(International Virtual Reality Professionals Association)に参加した際、 Sam Rohn, Jook Leung, Jeffrey Martinなど、世界のパノラマ・フォトグラファーのエキスパートたちに出会いました。彼らは皆、ポケットの中に滑らかなTHETA Sを忍ばせており、彼らがTHETA Sで撮影した360°画像はとても素晴らしいものでした。その後、THETA Vのプロトタイプも目にする機会があり、さらに夢中になりました。
Shooting with THETA Z1
私はためらうことなくTHETA Sを購入しました。それが私とTHETAシリーズの旅の始まりです。そのときから私はTHETA Vの登場まで、どこに行くにもTHETA Sを持ち歩き、撮影していました。私は現在、THETA S・THETA V・THETA SC2・THETA Z1、そしてTHETA Xを持っています。私は今ではTHETAにとても詳しく、THETAのエキスパートになれたと自負をしています。
Shooting with THETA Z1
そんなに多くのTHETAのモデルをお持ちなのですね!ところでユーチンさんはYouTubeで、特にTHETA Z1に関するさまざまな撮影や編集のテクニックを披露されていますが、THETA Z1のどの点が気に入っているのでしょうか?
私は主に、日常生活を360°で撮影することを楽しんでおり、日々の生活の撮影にはTHETA Z1をとても気に入っています。THETA Z1は、特に最高画質の360°撮影のために設計されていると思います。一型センサーを搭載したTHETA Z1は「360°カメラの一眼レフ」とも呼ばれていながら、屈曲光学の採用でコンパクトなサイズに収まっています。ワンショットで360°撮影できるこのカメラのおかげで、貴重な瞬間を、瞬時に高画質なパノラマで捉えることができるのです。
THETA Z1 :Dual Fishsheye Plug-in
特に、THETA Z1用の「DualFisheye RAWプラグイン」を使って撮影することで、動きのあるシーンでも、16bitの滑らかなハイダイナミックのHDR-DNGをカメラ内で合成処理することができます。実は、私は日常の360°撮影では、一眼レフを使わなくなってしまいました。THETA Z1は、360°撮影に関わる生活をもっと楽にしてくれるし、その場のシーンだけに集中することができるようになったのです。
具体的に、THETA Z1でどのような日常シーンを撮影されているのでしょうか?
自撮り棒を使いながら、食事のシーンや旅行の記録、また、友達とお茶をしながら撮影することが多いです。360°に適したシーンは何でも好きです。特に食事をしながらの360°撮影は、世界のパノラマ・フォトグラファーの友人たちから「ユーチン・スタイルの撮影」と呼ばれるようにもなりました。
THETA Z1 :Dual Fishsheye Plug-in
ユーチンさんの360°撮影時のコツを教えてください。
まず、THETAをベストな場所に置く必要があります。360°カメラの撮影の際は、注目するシーンの中心にカメラを置くことが重要です。底面や上部など、カメラの周辺がすべて魅力的な光景であることを確認してから「DualFisheye RAWプラグイン」を使って撮影します。これは、THETA Z1のキラー機能となるプラグインだと思っています。
DualFisheye RAWプラグインについての詳細は、私のYouTube動画をご覧ください。
Shooting with THETA X
THETA Xについて
ユーチンさんは既に、新商品のTHETA Xを使用されていますね。THETA Xのどの点が気にっていますか?
THETA X はスリムなボディで「真のスタンドアローン360°カメラ」だと感じています。私は特に、THETA Xの大型タッチパネルが気に入っており、とてもシンプルで、日常の生活の中で使いやすい360°カメラだと感じています。
THETA X
HDR合成モードも備わった、11Kの解像度を生成する1/2インチセンサーも含めて、画像品質もとても素晴らしいと思います。
Shooting with THETA X
THETAに関わる開発者たちへのメッセージ
技術的な知識も豊富なユーチンさんから、THETAの開発者たち、そして「DualFisheyeプラグイン」を作った3rd party開発者のIchi Hirotaさんに、メッセージをお願いします。
THETAの開発チームはとても素晴らしいです。THETA Z1を私たちユーザーのために開発してくれたことに、とても感謝しています。THETA Z1は発売から既に約3年が経過しましたが、2022年の現在でもなお、THETA Z1は未来からの贈り物ではないかと思っています。この画期的な屈曲光学の技術と、絞りが変更できる技術を搭載したこの360°カメラは、THETAの開発者たちが実現したミラクルです。私は時々、どうしてこういう技術が可能になったのだろう、と不思議に思うくらいです。THETAの開発者たちには、いつかまた、新しい技術のTHETAのモデルを開発してもらいたいと願っています。
Ichi Hirotaさん、私はあなたの技術とTHETA Z1に対する情熱を尊敬します。あなたは360°撮影をとても深く理解していて、そしてとても有望なエンジニアで、素晴らしい科学者です。RICOH THETAにとって、あなたはヒーローです。あなたのTHETA Z1に対する貢献に敬意を示すとともに、ぜひその素晴らしい活動を続けて頂きたいと思っています。
THETA Z1 :Dual Fishsheye Plug-in
私はこれからも、THETA Z1やTHETA Xで撮影を続けていくでしょう。私のYouTubeチャネルで、ぜひ私がTHETAを使ったさまざまなコンテンツを見てください。もし360°の静止画撮影、動画撮影、その他VR系のマニアックな知識に興味があれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
ユーチンさん、ありがとうございました。これからもユーチンさんの色々な情報を、楽しみにしています!
編集:平川