川添 毅さんは、神奈川県海老名市を拠点に広く活動されている写真家です。

以下川添さんHPのプロフィールより抜粋

幼少の頃、小さなカメラ店の店主に一眼レフをローンで売って欲しいと相談するほど一眼レフカメラに憧れる。
小学~中学は写ルンですや家にあったカメラで時折撮影を楽しみ。
一眼レフは2000年頃にMinolta α-Sweetでデビューする。
主に子供や家族旅行での撮影がメインだったが、
しずくフォトでマクロの美しい世界に魅了されたこと、
直後にパニック発作疑いで倒れた際に、好きなことを本気で行うと決意したことから、
2015年4月ごろより、フォトグラファーとして活動を開始。
2016年夏頃にRICOH Future House様からの360度写真撮影依頼をきっかけに
RICOH THETAによる全天球写真に夢中になり、個展を行ったり、グループ展に参加しました。
現在は神奈川県海老名市に在住し広く活動を行っています。
主な撮影分野は、マクロ、人物、風景、花、360度。

川添さんとは>>THETAで360度マップを作ろう などのイベントでお会いし、リコー社員も驚くようなTHETAの撮影技術について教えていただきました。
今回はそんなTHETAのスペシャリストである川添さんに、THETAの魅力、使い方、そして写真への思いについてお伺いしてみました。

カメラ、写真と川添さんのヒストリーについて

川添さんはカメラやガジェット好きという印象ですが、どのような幼少期だったのでしょうか?

今でも変わりませんが、新しいもの好きで色々なことに興味があり、人よりもちょっと変わったことが好きな性格でした。
たとえば学生時代の部活やクラブ活動では、小学校で卓球と図工、中学校でテニスとゴルフ、高校では剣道部に所属しておりました。
社会人になってはスキーとスノーボードにのめり込み、その中でも更に自由度の高いカービングスキー、ファンスキーにハマりました。

カメラについては、幼少のころに家にあったカメラで撮った写真が残っていて、どうやらそのころから関心を持っていたようです。
物心がついた頃には、カメラ屋にお小遣いの100円を持っていって「これでカメラを売ってくれ!」と交渉して…もちろん断られるわけですが(笑)。
それに負けずに「ローンで売って欲しい!」と提案するような子供でした。

いろいろなことにご興味があってチャレンジされる方なのですね。
小さい頃からカメラへ強い関心があったということですが、どうしてなのでしょう?もう少し詳しく教えていただけますか?

まず、単純にカメラというモノが黒くてかっこよく魅力的に見えていました。当時はカメラによる創作活動というよりもモノとしての興味が強かったです。
決して裕福な家庭だったわけではないですが、コンパクトカメラや薄いスパイカメラのようなちょっと変わったカメラが家にあり、時折触って遊んでいたことが原体験としてあるのだと思います。

インタビュー前のランチ会にてお話される川添さん

カメラはいつから本格的に始めたのですか?

私が初めてカメラを買ったのは2000年頃で、婚約の記念品として購入したミノルタα-sweetのダブルズームレンズセットでした。
当時はまだフィルムの時代で現像に手間がかかりで大変でした。家族と過ごす時間を大切にしたかったこともあり旅行などで家族を撮影する程度でした。50mmのマクロレンズだけ追加で購入したことを覚えています。

子供が生まれてからは、デジカメを買って子供をメインに撮影しておりました。子供が成長しチアダンスを始めたことをきっかけに、そのチア部の専属カメラマンとして7年撮影に携わせていただきました。
肉眼では見えないようなシーンやダンスの美しい一瞬を切り取ることが何よりの快感でした。この経験を通じて撮影に関するスキルや集中力がかなり鍛えられたと感じます。

会社員として働いたなかで大きな転機があったと伺いました。

子供も成長し少し手が離れてたこともあり、写真やカメラに本格的に集中できるようになった時でしたが、突然「パニック発作らしきもの」に襲われました。一番最初に発作があったのは家族を乗せて車を運転しトンネルを走っている最中でした。急に貧血になってトンネル内の非常駐車帯に急停車。
その後も体調はどんどんと悪化し、乗り物に乗るとめまいに襲われたりと車も運転できずにいましたが、病院に行っても原因はわかりませんでした。

病気については自分で調べ、色々と試して3〜4ヶ月でほぼ完治することが出来ましたが、この経験を通じて「人間はいつどうなるか分からないから、好きなことをやろう」と深く決意することになりました。
その後しばらく会社員として働いておりましたが、昨年退職するタイミングがあり現在はフォトグラファーとして活動しております。

プロフォトグラファーとしての川添さん

フォトグラファーとしてどのようなお仕事をされているのでしょうか、是非写真と一緒に見せていただきたいです!

色々なことに興味や関心が強く、可能性を限定せずにチャレンジしたいという気持ちがあるので、
撮影ジャンルは、イベント撮影、ダンサーやミュージシャンといったアーティストの宣伝画像、ジャケット写真、サロンを経営されていたりする方々のプロフィール写真、星景、風景、マクロ撮影、家族撮影も含むポートレートなどカメラで出来ることならなんでもやります。
拠点は海老名市ですが、ご要望があればどこでも対応できます。


アーティスト写真 model: LiLith


風景(トラベル) 父島  二見港
2019/06/01 RICOH GRIIIにて撮影

作品作りとしては、この画像のような「しずくフォト」を中心に取り組んでいます。


Blue Rose Drops 151029

こんな美しい写真がカメラで撮れるのですね!
川添さんの作品を拝見して初めて「しずくフォト」というジャンルを知りました。なぜしずくフォトにご興味が…?

しずくフォトはマクロレンズを使って撮影します。興味を持ったきっかけは、昔購入していたマクロレンズを使ってみようかな?と軽い気持ちで試しててみるととても繊細で美しい写真が撮れ感動したことです。
「普段肉眼では見えないミクロの世界にも、本当に綺麗な宇宙がある」という発見に心が揺さぶられました。

そこからしずくフォトに本格的に取り組むようになりました。江ノ島のウィンターチューリップをテーマにしたフォトコンテストで銀賞をいただいたことも1つの弾みとなり、例えば綿帽子をドライアイスで凍らせて雪景色を表現するなど、試行錯誤と自分の想像力だけで美しい写真が撮れるので、どんどんとのめり込んでいきました。

しずくフォトの撮影は、まず花の上に綿毛を、その綿毛に水滴を乗せてシャッターをきります。私はよりナチュラルでリアリティのある世界観を表現したいので風などの影響がある屋外での撮影も行います。手持ちのカメラを動かさないように息を止めたり、ミクロの世界のゆれに応じでカメラをミリ単位で動かしシャッターチャンスを狙うんですが、その時に命を削るほど精神集中する。

「命を削る」とは想像以上です。そこまで自分を追い込む作品作り、フォトグラファーの魅力はどういった所なのでしょうか?また撮影した写真を発表する個展も開かれていると伺いましたが、そちらについても教えてください。

まず、しずくフォトのような作品作りの魅力は、自分の世界をそのまま写真という誰かに伝わる形で表現できることですね。
仕事としてのフォトグラファーの魅力は、例えば人物撮影では、その人の魅力を引き出せるのが楽しい。私が撮った写真をプロフィール写真としてSNSにあげてくださることが多いのですが、本人だけではなく、ご友人に「すごい!」と喜んでもらえて感動の輪が広がっていくことがとても素敵だと思います。

個展に関しては神奈川県、東京都、京都など様々な都市や場所で開催させて頂いています。

実は、個展を開催することになった一番最初のきっかけは本日のインタビュー場所であるRICOH Future Houseだったんです。
昔、写真を印刷するために近所を探しているとRICOH Future Houseに印刷設備があるのを見つけ、印刷を依頼した時に作品を見て頂いたためか、スタッフさんから「THETA をお貸しするのでRICOH Future Houseの360度写真が表示できる天球ドームを活用してイベントしませんか?」という依頼をいただきました。それがTHETAとの最初の出会いでしたね。

川添さんとRICOH THETA との出会い

THETAを使った初めての印象はいかがでしたか?

360度カメラTHETAのことは知ってはいたのですが、いざ実物を手にするとレンズが出っ張っているので取り扱いがむずかしそうで怖い、というのが率直な印象でした(笑)。
360度写真はどのように撮れるのか?という疑問はありつつ、ボタンを押すとあっけないほどカンタンに360度撮れてしまった。なんとも言えない驚きを感じたことを覚えています。ただ、目新しい響きがある360度写真とは言え、単純に上下左右がすべて写った画像ですから、それを表現としてどう扱えばよいのか、という難しさを直感しました。

当時、360度写真の表現はリトルプラネットがスタンダード。撮影シーンは自撮り写真や、飲み会の集合写真が多かったので、人とは違う自分ならではの表現について考えました。例えば、撮影者である自分はできるだけ映さないようにしたり、アウトプットを正方形とはちょっと違う3:4の形にしたりなど。その他にも、超広角レンズ的な使い方や、花を撮影してぐるっと丸になるように編集する「花の輪舞」シリーズに取り組みました。

また、自分ならではの表現として、個展の空き時間のときに、なにか他におもしろい撮影方法がないのかな、と考えてピン!とひらめいたのが手乗りダンボーシリーズです。
RICOH Future Houseにお声がけ頂いたイベントが終了した後にようやく自分用のTHETA SCを入手しました。本体色は花を撮った際に色移りしないように白を選びました。自分のTHETAを入手してから一気に撮影にハマって行きましたね。

普段ミラーレスなどのハイエンドカメラを使われているフォトグラファー川添さんから見た、360度写真やTHETAの価値について教えていただけますか?

THETAは「最高の旅の記録ツール」ですね。一眼レフやミラーレスだと、例えば鳥を撮ろうとしたときのカメラが向いている逆側の雲の形や光の差し込み具合といった風景は決して同時に記録することはできない。「今!」という一瞬しかないシャッターチャンスを全方向で記録できるカメラは360度カメラでしかありえません。

この部分に関しては他のレンズ交換式一眼レフやミラーレスのカメラとは明らかに違いますね。言葉で表現することは難しいですが、カメラであってカメラでない。今までのカメラやレンズに対する常識も通用しますが360度撮れることの可能性は断然大きいです。

THETAは新しくフラッグシップモデルのTHETA Z1になり画質はなおさら良くなりました。将来的にこれが8Kになっていけば、もっと写真本来の記録という役割を満たすのではないかと考えています。

私自身、最近は「旅」を通した作品作りに取り組んでいます。「悠然(心がゆったりとしているさま)」を今年のテーマに掲げ、海外や日本の色々な場所にTHETAとともに旅しています。このインタビューが始まる前に、有志の方に集まってもらって”ゆるランチ会”をして、その旅のTHETA写真をご紹介したのですが、まず八丈島に行き、その後伊豆のヒリゾ浜。ここではTHETA Vで水中写真にチャレンジしました。その後は京都、北海道、新潟と国内をまわり、今年にはいってからは宮崎、ハワイ、父島、八丈島を訪れました。今後は伊豆7島をすべて訪れたいと考えております。その旅においてもTHETAの360度写真がもつ豊かな記録性は多いに役立ちました。



フォトグラファー川添さんに聞くTHETAの撮影TIPS

ここからは写真撮影のプロフェッショナルである川添さんにTHETA撮影のテクニックを伺ってみたいと思います。

◆川添さんのTHETA撮影スタイル

私は「自撮り棒」+「Z1」の手持ちスタイルが基本です。三脚は持っていきますが使うことはそこまで多くないです。
自撮り棒はマンフロットの製品を愛用しています。

手持ちで撮影する場合は「サクラスリング」のストラップを併せて使用することが多いです。このストラップは肌触りが良く使用感がとても良いのでおすすめです。

「サクラスリング」は女性向けのストラップというイメージが強いかもしれませんが男性向けのカラーもあり、4000円程度で比較的手に入れやすく質が高いです。
そのままでTHETAに装着することができないので、三脚ネジと携帯ストラップをつなげるエツミのアダプターを使っています、

テーマパークなどの自撮り棒の使用が禁止されている場所では付け替えてミニ三脚を使います。
これはTHETA本体を手持ちすると手が写り込むのでそれを避ける目的ですね。

◆Z1にして撮影スタイルが変化した

THETA Vは条件が悪い場所だとAuto設定では白飛びや黒つぶれが心配な場所があり、iPhoneで露出を確認しながらマニュアル設定するケースがありました。

しかし、Z1になってからはセルフタイマー+Autoでサクサク撮影するスタイルに変わりました。
これは出てくる絵のクオリティが高く仕上がりが良く、最悪RAWデータで後で編集することができるので、そのまま安心してシャッターを押すことが出来るようになったためです。

Z1によって私の撮影スタイルは変わりつつあります。

◆川添さんが教える撮影のコツ

コツ① 必ずその場所で複数ポジションを撮影する

同じ場所に立っていたとしても真上、水平、足元とTHETAのポジションを変えて撮影することで自分も驚くような全く異なった写真になります。複数ポジション撮影し編集することで都度新しい気づきやノウハウが蓄積されて行きます。

その場所の対称性やTHETAの向き、床や天井の模様にも注意を払うと良いです。たとえばこの部屋だと天井の模様はとてもおもしろく表現できると思いますよ。
実際にためしてみましょう!

これも上のポジションを撮るように意識していないとなかなか気づくことが難しいかもしれません。

コツ② 自分をどのように写し込むか考える

THETAで大事にしているのは自分の着ている服ですね。どのように自分を写し込むか。もし自分を入れて撮影するなら、写真は服装を入れてまでのトータルコーディネートになります。
わざとローブみたいなモノを羽織るなどコスプレするのもありですね。

コツ③ THETAをどう使うとどのように撮れるのか色々と試す。

三脚を長くしてドローンのように撮影したり、ダンボーを乗せたりなどTHETAは使い方が無限大なのでいろいろな撮影方法を試してみると面白いです。

たとえば良く聞かれるダンボー手乗り写真はこのような感じで撮影しております。

ありがとうございます!ゆるランチ会ではおそらく100枚以上の素敵なTHETA写真を見せて頂きましたが、
面白そう!というスポットや今ご紹介いただいたような撮影方法は、一体どう見つけているのですか?

私は、撮影する前にここで撮ればどうなるのか?というアウトプットのイメージが頭のなかにあります。

これは経験による所が大きいと感じますが、THETAの扱い方がわかるようなり、撮影経験が増えてくると、自然と気づくようになると思います。

撮影方法に関しては一眼レフなどのカメラで身につけた撮影方法をそのまま応用することもあります。

例えば、スローシャッターという撮影方法をつかうとどうなるだろう?と回して撮影したがこちら。

これの作品は「>>サンディスク裏技フォトコンテスト 中の人(偉い人)賞」を受賞しました。

この写真も撮影はとてもカンタンで、シャッタースピードを2分の1か、3分の1程度に設定し周りの安全を確保して自撮り棒を長くし自分を中心に回転させます。

お見せします。

貴重な撮影方法を教えて頂きありがとうございます。試して見たいと思います!
最後に…新機種THETA Z1ついて、THETAとカメラのプロフェッショナルである川添さんの視点からコメントをいただけると嬉しいです。

まず、先程もお伝えした通りですが、RAW現像に対応しているので撮影や編集の幅がぐっと広がりました。旅行では団体でのツアーに参加することもあるので、自分が好きなだけ時間をかけて撮影することが難しい場面があります。そんな時でもZ1なら、出てくる画に安心して撮影ができるので行動を乱さずに済みます。

そして、なによりも画質が格段に良くなった。シャープさが向上したのでこれまで捉えきれなかったような360度写真の中の人間の表情も写るようになった。今まで以上に日常、旅、街といった様々なシーンで「思い出の記録」としての価値が格段に良くなりました。カメラ本来の意味ってなによりも「記録」だと私は考えます。

THETA Z1は「全方位360度+高画質」という意味において、より一層究極のカメラに近づいたと思います。

ありがとうございました!(大原)

●川添さんの各種アカウント情報

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https://tsuyoshikawazoe.jimdofree.com/

オリジナルグッズ販売サイトSUZURI

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