THETAは様々な角度に切り出して編集する楽しみ方がありますが、今回は、2020年7月にTHETAの写真を球体や立方体の作品にして写真展を開催されたグラフィックデザイナーの下出さんにお話を伺いました。

下出さんに伺った写真展のことやTHETAを使うコツ、楽しみ方についてご紹介します!

【下出さんの自己紹介】

石川県在住。Webサイト制作、DM、ポスターや製品パッケージデザインのトータルプロデュースを手掛ける、フリーのグラフィックデザイナー。
HP:https://shimodesign.saloon.jp/

カメラを始めたきっかけは、自分で撮影した写真を使ってイメージ通りのWebサイト制作するため。

2016年~2017年頃、プロカメラマンからワークショップを受けたのを機に、ほぼ独学でカメラを学ぶ。

一眼レフの超広角や魚眼レンズで撮影したインパクトの大きい写真が好きで、2018年頃にインスタグラムで面白い写真を探していたところ、SujitさんのTHETA写真が目に留まった。#theta360タグからTHETAを知り、THETA SCをすぐに購入。

THETAは他のカメラでは撮れない面白い写真が撮れるので、いつでも撮影できるようにカバンの中にいれて持ち歩くようにしている。

今回の写真展のために今年2月にTHET Z1を購入。

THETAの写真を球体や立方体の作品にして写真展を開催

-THETAで写真展をやろうと思ったきっかけを教えてください。

私はソニーのミラーレス一眼レフを使っていて、ソニーのサークルで知り合った一眼レフ仲間と一緒に、3年くらい前から写真展を年1回のペースで開催しています。そのサークル仲間の女性3人で次の写真展について話していた時に、気軽に撮影したスナップ写真で写真展をやってみようという話になりました。

一眼はしっかり構えて撮影することが多いので、撮影する目的がないとなかなか持ち歩きません。気軽に持ち歩くことで出会えた光景だったり、面白いスナップ写真が撮れても、そういうのを発表する場はあまりないね、という話になり、3人がそれぞれ持っているコンパクトデジタルカメラで撮影したスナップ写真で写真展をやってみようと。

私はTHETAの作品を作ってみたかったので、THETAで撮影することにしました。

-THETAの写真を球体や立方体の作品にされたのは、ステキなアイデアですね!

360度写真は、1枚の写真で様々な表現ができるので、どこからどこまでをどうみせようかと考えて切り出すのが楽しく、面白いアウトプットに仕上げることが出来ます。一方で、せっかく360度を撮影できているのに情報を切り落としてしまうのがもったいないですよね。そこで今回、THETAの写真で作品を作ろうとした時に、360度の情報をそのまま形にできる球体や立方体で作品にして見せたら面白いのではないかと考えました。

【上の写真はTHETAの写真を球体にしたものと、その元となった360度画像】

-写真展の開催にあたって、苦労されたことはありましたか?

元々THETAのエントリーモデルであるTHETA SCを持っていましたが、印刷した際の解像度が満足いくものではなかったので、今回の写真展を機に、フラッグシップモデルのTHETA Z1を購入して撮影に備えました。Z1での撮影を楽しみに、撮影計画を立てて他県の色々な場所での撮影を予定していましたが、新型コロナの影響で外出が出来ず撮影がストップしてしまったりして、その点が苦労の一つです。THETA Z1を使った撮影が十分に出来なかったので、仕方なく、THETA SCで過去に撮影した写真も使わざるを得なくなりました。作品の1/4くらいはTHETA SCの写真を使っています。THETA Z1をせっかく買ったので、もう1回、2回はZ1で撮影に行きたかったですね。

他には球体の制作にも苦労しました。私はペーパークラフトのSAYA360というサイトを利用して球体や立方体の展開図を印刷し、それをカッティングして組み立てました。球体の制作では、A4サイズに半球ずつ印刷されるのですが、カッティングも繊細なので、とても大変でした。1個の球体を制作するのに、1時間半から2時間もかかってしまって、最初の1つを作った時にやめようかと挫折しそうになりました(笑)。今思えば、新型コロナによる自粛期間があったから集中して12個制作できたのかもしれません。

余談ですが、球体の制作が中盤に差し掛かったあたりで、THETAのFacebookのグループページ「THETA事業部分室」に球体を制作できるアプリが紹介されたので、それも試作してみました。やはり組み立てには時間がかかりましたが、あのようなアプリを自作して無料で公開してくれるのは、すごいなと思いました。

-想像していた以上に大変な作業だったのですね!そんなご苦労があったとは!写真展の来場者さんの反応はいかがでしたか?

多くのお客様が面白がってくれたり、驚きの声をあげたり。今までやってきた写真展とは、お客様の反応が違い、やってよかったと思います。

また、プロカメラマンの方からも「面白いね、見たことないよ」とか「これリコーさんに送って見てもらったら?」と言って貰えた時は「ほんとに?!」と疑心暗鬼にもなりましたが嬉しかったです。

写真展の開催時期は新型コロナでの自粛が解除されていましたが、大々的な告知は控えました。今回の写真展は金沢市の小高い山の上にあるカフェで6日間の開催でしたが、開催期間中は殆どが雨で1日しか晴れ間がなかったにも関わらず、口コミで230人以上の方が来てくださいました。

来場されたお客様がSNSに投稿してくれていて、それを見て来たという人もいて大変嬉しかったです。

-THETAで写真展をやってみて、ご自身の感想はいかがですか?

お客様の反応が良かったので、そういった作品をいつでも作れるように、これからもTHETAでいろいろと撮影しておこうと思いました。

スチル写真は上手な方がたくさんいて同じものを撮影しても敵わないのですが、今回のように360度写真を球体や立方体にした作品をつくると、沢山の方に喜んでいただけましたし、自分にとっても励みになり、とても楽しかったです。

今回の写真展は、写真はこうあるべき、額に飾るべき、壁に飾るべきという概念を持たず、一緒に写真展を開催した他の二人もスナップ写真を楽しく、面白く展示していたので、球体・立方体を展示しても違和感なく、うまい具合にマッチしたと思います。

また、今回の写真展はTHETA Z1じゃないと出来なかったと思います。印刷に耐えうる高画質だったのがポイントでした。

-THETA Z1とTHETA SCの違いは印刷すると分かりますよね。他にも違いを体感されたことはありますか?

Z1はRAW撮影しなくても手持ちHDR機能を使えば暗いところでも綺麗に撮れます。普段は、マイセッティングに手持ちHDR機能を登録して、すぐに使えるようにしています。THETA SCだと、画像の補正に一手間、二手間かけてから友達にシェアしていましたが、THETA Z1は綺麗に撮影できるので編集の必要が無く、手間は格段に違いますね。

-最後に、THETAについての感想やご要望があれば教えて下さい。

2018年頃にTHETA SCを購入しましたが、実は、撮り方も良く分からないままに飽きてしまって、しばらくTHETAを放置していました。それから数か月後、THETAのムック本を読み色んな撮り方ができることが分かり、撮り方が分かると一気に面白くなり、撮影の場が広がりました。

THETAは“クセ”有りのカメラだと思います(笑)。だけど、そのクセを理解できると撮影が楽しくなります。

私がTHETAのクセを理解したきっかけは徳島県の大塚美術館での撮影です。大塚美術館は、触れることも、撮影することもできて、1日かかっても回りきれないところで、そこで私はTHETAの電池が切れるまで、半日以上かけてたくさん撮影をしました。被写体に近づいたり、離れたり。ここまで離れると自分が米粒のように小さく写るんだ、ここまで近づいて撮影すると編集したらギューンとインパクトが出て面白い、1センチでもずれたら左右が対称にならない、、、など。THETAでたくさん撮影したことで、THETAのクセが分かるようになりました。いろいろな撮影方法を読んで頭では分かったつもりでいても、実際にいざ撮影しようとしても上手く撮れなかったりしましたが、自分なりに実践を繰り返し、撮影する量に比例して上手くなっていったと思います。

私が掴んだTHETA撮影のコツの一例を挙げると、

・被写体にかなり近づけて撮影

・対称になるところで撮影。THETAを真ん中に、被写体の正面になるように、また垂直がきちっとでるように、などを意識

THETAでたくさん撮影していくにつれ、どのように撮影出来ているかのイメージが付くようになります。イメージをしながら撮影するのも楽しいんですよ。もっともっとこの楽しさを皆さんに分かってもらいたいです。

THETAはプラグインもたくさん出てきているので、今後ますます楽しみです。あとはRAWでどこまでキレイになるのか、興味があるのでやってみたいです。使いこなすのは使い手の技量なので、何とか頑張って使っていきたいと思います。

最後に、THETAについての要望を挙げると、電池がもう少しもつといいなと思います。また、THETAで撮影する際に、本体のシャッターボタンを使うと指が大きく写るので、作品ではそれを避けるために一脚を使うのですが、先日新しく発売されたRICOH THETAスタンドTD-1は価格が少し高いので、もう少しお手ごろ価格だと嬉しいです。あと、カバンの中にさっと入って、さっと取り出せるくらいの長さ(150㎝くらい)で純正の一脚が欲しいです。ほんのちょっとした痒いところに手が届かない感じ。もうちょっとかな(笑)。

-これからも写真展は開催される予定ですか?

はい、来年も写真展をやりたいねと直後の打ち上げで話しが出ました。次回もまた、THETAを使ってみようと思っています。THETAで写真展をやるためにどんな作品を作ろうかを考えるのは、ハードルが高くもあり、楽しみでもあります。

次回は、Z1でもっといろいろな面白いところを撮影したいと思っています。

-貴重なお話をありがとうございました!来年の写真展を楽しみにしています!(坂本)

下出さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/simmonzu/

サイドバナー