高精細な360度の写真を生み出す、大型の1型イメージセンサーを搭載した360度カメラRICOH THETAのフラッグシップモデル、RICOH THETA Z1。通常撮影でのJPEG画像でも、優れた画質ですが、RAW(DNG)+JPEG形式で撮影することで、一眼レフカメラのRAW現像と同じように、細やかな画質調整を行うことができます。
空間をより魅力的な画像として表現することができるTHETA Z1のRAW現像は、写真愛好家の方々だけでなく、施設や空間のバーチャルツアー撮影機材として、世界中の方々に多く活用されています。
360度カメラTHETA Z1で撮影したRAWデータを現像するには、Adobe Lightroom Classicで現像したデュアルフィッシュアイのデータを、Adobe Lightroom Classic専用プラグイン「RICOH THETA Stitcher」(無料)で360度に繋ぎ合わせる(スティッチ)処理が必要です。
なんだか難しそう、、、と思うかもしれませんが、一度設定すればとても簡単です。
Adobe Lightroom Classicでの現像のコツも含めて、ステップでご紹介します!
Photo by Sam Rohn
まずはTHETA Z1でRAW(DNG)撮影してみよう!
撮影:
THETA Z1とスマホのTHETAアプリを接続し、RAW(DNG)+JPEGモードに設定しましょう。ここでは、THETA Z1のバージョンアップで新たに対応になった、RAW(DNG)+JPEGモードと、HDR合成の組み合わせを設定して撮影します。
スマホ上のTHETAアプリ設定画面
※HDR合成は三脚で固定して撮影する必要があります。
※三脚不要でブレに強い、RAW(DNG)+JPEG &手持ちHDRの組み合わせもおススメです。
※THETA Z1のRAW機能バージョンアップ詳細は、こちら。
RAW(DNG)+JPEGモードで撮影した場合、RAW(DNG)データとJPEGデータの2種類が同時に記録されます。JPEGデータはスマホのTHETAアプリに転送し、画像を確認することができますが、RAW(DNG)データはスマホでは確認できないためPCでデータをダウンロードする必要があります。
PCでRAW(DNG)データをダウンロードする:
THETA Z1とPCをケーブルで接続し、RAW(DNG)データを読み込みましょう。THETA Z1のRAW(DNG)データは、デュアルフィッシュアイ形式で記録されています。
THETA Z1で撮影したRAW(DNG)データ
Macをお使いの場合は、イメージキャプチャ内のフォルダから、THETA Z1の画像データを読み込むことができます。また、Adobe Lightroom Classic上から直接ケーブルで接続したTHETA Z1のフォルダを開くことも可能です。
Adobe Lightroom Classicで現像しよう!
THETA Z1で撮影したRAW(DNG)データは、Adobe Lightroom Classicで現像しましょう。
RAW(DNG)データは、もちろんお好みの設定で画像編集することができますが、ここではTHETA Z1での画像編集初心者の方向けに、おすすめの設定値を事例でご紹介します。
※現像後、Adobe Lightroom Classic用の無償提供プラグイン「RICOH THETA Stitcher」で、360度画像に繋ぎ合わせる処理(スティッチ)を行います。
現像:
Adobe Lightroom Classicで現像画面で、ハイライトは-100まで下げ、シャドウは+50まで上げてみました。THETA Z1に合ったお好みのベースの設定値をプリセットに設定しておけば、毎回そのプリセットの値から、画像に合わせて微調整するだけなので簡単です。
ここでは、上の赤枠のハイライト~彩度の値をすべてプリセットであらかじめ登録し、露光量は0で登録しました。その画像によって、最適な露光量の値、また他の値を微調整するだけで、簡単に各画像の編集を行うことができるでしょう。
プリセット例:
露光量 0
ハイライト -100
シャドウ +50
明瞭度 +5
かすみの除去 +10
自然な彩度 +15
彩度 +5
「レンズ補正」→「色収差を除去」も必ずチェックしておきましょう。画像の淵などに発生しやすい、色のズレを抑えることができます。
窓の近くなどに発生しやすい「紫色のフリンジ」が気になる!そんな場合は「レンズ補正」→「手動」→「フリンジ軽減」で、「適用量」と「紫色相」を調整してみることもおすすめです。
これで、編集が完成しました!
RICOH THETA Stitcherで360度画像につなぎあわせよう!
Adobe Lightroom Classicで編集した後、デュアルフィッシュアイのJPEG/TIFFファイルとして書き出し、Adobe Lightroom Classicにインストールした「RICOH THETA Stitcher」でスティッチ処理を行います。
RICOH THETA Stitcherを使うことで、THETA Z1本体のJPEGファイルと同等の綺麗なスティッチ処理をした、Equirectangular形式の360度画像を作り上げることができます。
まずはじめに、THETAの公式HPから、RICOH THETA Stitcherをダウンロードしましょう。
以下のリンクの詳細な手順に従って、RICOH THETA StitcherをAdobe Lightroom Classicから起動し、スティッング処理してください。
Adobe Lightroom Classic上で、あらかじめインストールしたRICOH THETA Stitcherプラグインを、ファイル→書き出しで起動します。
RICOH THETA Stitcherでは、中央位置などを調整することが可能です。また、現像した複数RAW(DNG)データを選択した場合は、バッチ処理で一度にスティッチ処理を行うことも可能です。
RICOH THETA Stitcherの画面
RICOH THETA Stitcherを使う際の注意点:
RICOH THETA Stitcherを使う際は、以下の点に注意しましょう。
注意:
・THETA Z1で撮影した画像を使用して下さい。
・処理できるファイル形式は、デュアルフィッシュアイのJPEG/TIFFファイルです。TIFFは8bit又は16bitのRGB形式のみ対応です。
・処理できる画像サイズは7296×3648です。Adobe Lightroom Classicの“HDR結合”を使用している場合は、”自動整列”のチェックボックスをOFFにしてください。
・JPEG/TIFFファイルは、元のDNGファイルと同じフォルダパス、又はひとつ下の階層のフォルダパスに置かれていることを推奨します。
*RICOH360 Toursでバーチャルツアー化
上記はすべて、THETA Z1本体で処理したJPEGファイルと同等の、キレイなスティッチ処理を実現するために必要な制約です。例えば、THETA Z1以外で撮影した画像や画像サイズが異なるファイルは、THETA Z1同等のスティッチ処置ができない場合があるため非対応としています。
また、最適なスティッチ処理を実現するため、生産工場でTHETA Z11台1台に対してレンズの調整を行っています。その1台ごとに調整されたキャリブレーションデータをRAW(DNG)データに格納しており、RICOH THETA Stitcherでスティッチ処理をする時に参照する仕組みになっています。
Adobe Lightroom Classicから現像するJPEG/TIFFファイルを、元のRAW(DNG)データと同じ、もしくはひとつ下のフォルダパスに置くことを推奨しているのは、そのためです。
Photo by Sam Rohn
コロナ禍で引き続き需要の高い、360度画像による空間表現。
施設のバーチャルツアーなどで、より魅力的な画像を紹介したい場合は、ぜひTHETA Z1(DNG)データで撮影・現像にトライしてみてくださいね!
編集:平川
撮影:大原