RICOH THETA アンバサダープログラムは、THETAをご愛用くださっている皆様と一緒に、THETAの魅力を広めていきたいと言う想いから2019年6月に開始いたしました。
プログラムに参加すると、ポイントが加算され、ポイントに応じた特典をもらうことができます。
アンバサダープログラムについて詳しくはこちらをご覧ください。
様々なプログラムを実施いただき、最上位ランクである「プレミア」を獲得した、いけだじゅんじさんのプレミア証授与式の様子をレポートいたします。
2023年2月15日(水)にリコー本社にてプレミア証授与式を行いました。
リコーからはSmart Vision事業センター 藤木副センター長と、マーケティング・コミュニケーション室の竹内室長、中本、大原、坂本が参加し、いけださんをお迎えしました。
はじめのご挨拶
まずは藤木さんからご挨拶。
「本日はわざわざリコーの本社までお越しいただきまして、ありがとうございます。
THETAという面白いデバイスをもっと広げる為にはどうしたらいいかと考えた時に、自分たちだけの力で広めて行くのはなかなか難しいと言う気付きから、使って頂いている人のお力を借りて、周りの方々に広めて頂く方が本質的なのではないのかと思い、ユーザーの方々同士で交流できる場、皆さんのご意見を伺うことができる場を作ってみようとFacebookグループページ「THETA事業部分室」を2018年に立ち上げました。当時から、ユーザーの皆さんが自らこの場を活用してくれる形になれば、双方にとって理想的だと考えていました。新型コロナウイルス感染拡大により厳しい状況でも、いけださんを始めとしたユーザーの皆さんに積極的に活動して頂き、心から感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします」
ポイント交換内容のご案内
プレミアアンバサダーになると、今後獲得されたポイントは、純正アクセサリーやTHETAオリジナルグッズに交換することができます。ポイントで交換できる商品と交換ポイントについてご案内をしました。
今回いけださんは「対象ランク以下の景品に交換可能」という条件を利用され、プレミアアンバサダーの景品ではなくゴールドランクの景品「モンベル、レインダンサージャケット」を選ばれましたので、これにプレミアアンバサダーのロゴを入れてプレゼントいたしました。
プレミア証授与
いよいよプレミア証授与式です。プレミア証明書の裏面に書かれている内容を読み上げ、藤木さんからいけださんへお渡ししました。
「RICOH THETAアンバサダープログラムにおいての活躍に敬意を表し、THETA公式プレミア
として認定します。今後もTHETAの魅力を周囲の方々に広く伝えていただけることを期待しています」
いけださんのプレミア証明書「№002」と藤木さんの「№000」をアップで。
いけださんと藤木副センター長との対談
ここからは、いけださんがこれまでやって来られた事やTHETAへの期待、ご提案などのお話を聞かせていただきました。
いけださんは元々、映画館を経営されていたそうで、コンシューマ向けのビジネスの難しさやプロモーションについてのご経験をお話しくださり、そのビジネス経験と照らし合わせたTHETAに対するこれまでの感想や現状のこと、今後の可能性などをお話してくださいました。
いけださん
もともとコンピュータが好きだったことから、1990年代からパノラマ制作をしていました。2000年にApple社がCubic VRを出して、これで初めて天地を含めた360度が手軽に見られるようになったのです。その頃からなので、私の360度パノラマ歴は25~26年になります。当時は360度画像を作る手軽なアプリケーションがなかったので、自分で作って一般に公開していました。その頃、世界で3つか4つしかなかったアプリケーションの1つは私が作ったものです。そこからは、スタートアップで人を集めてアプリ開発を継続した人もいれば、様子見て辞めた人など方向性が分かれていきました。私はアプリケーションを自分で開発することを止めました。その時に一番思ったのは、見る環境が広がらないということです。Cubic VRで見ることができても、Windowsで見るにはQuickTimeをインストールしなければならず手間がかかったり、回線の速度が遅く、パノラマを高画質で見せようとなると、その頃のインターネット環境だと重すぎたりしてあまり見てくれない状況でした。
当時、荻窪圭さんとプログラムを相談しながら作っていて、それならいっそのこと、プチVRというコンセプトで思いっきり小さく、数十キロバイトのサムネイルにして、あっという間にダウンロードできるようにすればいいんじゃないかなど、色々試しましたが、なかなか普及するまではいきませんでした。その頃から不動産関係や観光で活用されるだろうということはみんな分かっていましたが、見る環境の問題もあり、普及には難しく…まだ時代が早かったんでしょうね。そういう意味ではリコーさんが今、ビジネスの方向にシフトしたのは、本当に良かったと思います。これで事業を成長させることができれば、THETAの存続も可能となるので、個人的には一安心。リコーさんがビジネス的にうまくやられて、当面機材としてTHETAは間違いなく残るだろうなと思っています。
リコー藤木
そうですね。そもそもTHETAはコンシューマ向けをターゲットに始めましたが、近年、ビジネス向けの需要が高まっているため、昨年あたりからビジネス用途での事業拡大に軸足を置きつつ、引き続きコンシューマ向けも維持しながら、トータルで事業の安定化を図っていこうとしています。
いけださん
以前、印刷用紙販売管理のシステムに関わった際に、印刷会社との付き合いがあったことから、リコーさんの製品も当時から知っていました。お客さんの中でリコー製品が好きだと言う人もいて、話をしてみると営業の方の面倒見が良く、ソリューションがしっかりしていたという印象です。最近でもリコーさんは「ユポ」という耐水性や強度がある合成紙にも対応したプリンターを販売し、使い方セミナーをZoomでやっていて、頼りになるなぁと思いました。また、リコーさんがワイドフォーマットプリンターで壁紙印刷をやっているのを知った時、壁紙のデザイン別に、その部屋をTHETAで撮影したらイメージがしやすくなるので、そういう使い方にも広げられるのではないかと閃きました。プリンターとTHETAとを組み合わせていくともっと色々なことができて面白そうだなと思います。
リコー藤木
壁紙のイメージを伝えるためにTHETAで撮影した画像を活用するというのは、非常に面白いコンセプトですね。
最近はリモートワークが主流になっていて、意図的にコミュニケーションを取りにいかないと、なかなか他事業部との交流ができませんが、コロナが落ち着いてきたら、そういう自然なコミュニケーションも増えてくると思いますし、事業部門の連携もしやすくなると思います。
いけださん
20数年前、360度画像を作るには2Dの写真を最低でも2枚、高画質にしようと思ったら数限りなく撮ってステッチする必要がありました。それがTHETAの発売により一発で撮影できるようになり、そのうち普及するだろうと思っていたんですけど、思ったほど来ないなぁと(笑)。
そこに、360度画像を2Dに落とし込んで見るリトルプラネットが出て来てちょっと火が付いたかなと。Instagramを見ていてもそうですし、FacebookのTHETA事業部分室でも360度画像のまま投稿する人もいますが、割合では2Dに落とし込んだものを投稿している人が多い。
その中でInsta360は最終的に2Dで見せちゃえ、と割り切っている。ただユーザーがどこまで広がるかと言うと、コアユーザーとお金に余裕があって面白いカメラ欲しいなと言う人が買って、スキーでもやった時に使ってみる程度で、常用するか?となると疑問があります。
リコー藤木
コンシューマの方は、どういう風に見るかと言う所に影響されると思いますので、ヘッドマウントディスプレイが広がれば、360度で見るシーンも同時に広がっていくのではないかと期待できますが、周りで持っている人を探しても、まだ、ごく一部の人しか使っていらっしゃらない。
いけださん
私も最初はその可能性を考えたのですが、ヘッドマウントディスプレイは特殊なもの以上にはならないと思っています。よっぽど軽くなって普通の眼鏡くらいまでになれば可能性はありますが、眼鏡になるんだったらになっていくと思います。
見せ方と言う意味でいうと、AppleはVRよりもARに力が入っていて、最終的にはジオロケーションに落とし込んで普段の生活に情報を載せてくるんじゃないかと。そこでARが360度に使えるなと思ったんですよ。
今までの360度画像は、PCのディスプレイやスマホで見ると、パッと見は普通の写真と変わらない。エクイレクタンギュラー形式は2対1の画像だから、360度画像だと分かる人は少ない。そこで考えたのが、360度の球体にエクイレクタンギュラーで貼って、丸で表現する。ただ丸で表現してもボールに貼っている地球儀を見ているだけだから、半透明にして向こう側を透けているように見せる。一度に360度が全部見えると言うことは2Dのディスプレイでは半透明にするしかないと思ったんです。
半透明にした上でゆっくり回すと、球体が回っていて表も裏も中も見えて、これは360度だなと一目で分かります。
さらに、ARなので球体の中に入る事もできます。中に入ると完全に不透明にして、theta360.comで見るのと同じ状態にします。それを試行錯誤しているので、札幌の写真展の時に隣でそれを展示しました。そこで色々と収穫がありまして、やっぱりARは誰も知らないなと言う事が一番よく分かりました。コンピュータの画面上にARが現れると、拡張現実なので、それを見る為には自分が動く必要がありますが、一般の人にディスプレイを持たせると自分は動かないで画面上の中で動かそうとするんですよ。だからユーザーインターフェイス的にまだ経験が足りないと言うか、見せたい物と見る側のマッチングができていない。そこを見せる必要があるんだと言うことが今回札幌でよく分かりました。
たぶん2~3年するとAppleからAppleグラスが出るでしょうから、私の目標としてはあと2~3年で仕上げればいいかなと思っています。そうなれば360度の広がりの可能性はあると思います。
あと、写真展に来た人の話を聞いてみると、仕事で使っていると言う人が2~3人いました。企業は顧客セグメントをビジネス用途とコンシューマ用途とで分けているところが多いですし、東京は企業が多いのでその方針で問題ないと思います。ただ札幌では、例えばデザイン事務所をやっていても、個人事業主や副業的にやっている人が多く、この人、ビジネス用途なのかコンシューマ用途なのか分からない、という人がけっこういます。
これからの時代は副業がどんどん増えてくると思うので、ビジネス用途とコンシューマ用途とであまり差が出ないようになるかもと思いました。THETA事業部分室もそういった切り口で運営するのも面白いのではないかと。
リコー藤木
今のTHETA事業部分室はコンシューマ用途の方が多いので、その中でどういったビジネス系の話題を振っていくかはわりと難しいところですね。いけださんのようにビジネスでも使われる方々が増えて話題になると嬉しいですね。
いけださん
映画の世界では、100本のうち90本は赤字なんです。5本くらいがとんとん、2~3本がヒットして食べていけるくらいの感じです。そして何がヒットするかは、毎年映画を見ていても分かりません。そういった経験から、常に可能性に目を向けていないと気持ちが持ちません。元々映像が好きだったこともあり、3Dや360度も好きで、ARと一緒にしたり空間オーディオと組み合わせたりすることで、360度も何とかコンシューマ向けに広がらないかと思っています。
空間オーディオも2種類あると思っていて、THETA Vやソニーが今やっている空間オーディオのように、撮ったものをよりリアルに再現するというものと、Appleの空間オーディオのように、音と映像が一緒に動くものです。映像だけに頼ると目の見えない人にとって、デジタルデバイスとしてハンデを与えることになるので、Appleの空間オーディオのように音が一緒に動くことによって、目の見えない人にも最低限の情報伝達ができます。Appleのやっている360度や3Dは基本機能の中に空間オーディオと文字情報も必ず入るようにしていて、それを既に何年も前からやっているので、数年後のAppleグラスには全部用意されているという状態をつくろうと考えてやっているんだと言うことが分かります。開発者からすると、これは、あと何年か我慢して付いて行こうと言う気になります。そして、私はそこに360度の可能性を非常に感じているんです。
<以後、一部省略>
※この後もバーチャルツアー上での空間オーディオについて、静止画と組み合わせた空間オーディオのご提案など、熱い談義が続きました。
360度画像の普及に向けて
最後は、360度画像をどのように普及していくか?について、いけださんにいくつかご提案を頂きました。
360度画像はTHETAを知らない人に見せるのは敷居が高く、簡単に見ることができないので、どうしても2Dでアップする人が多い現状です。いけださんは、これを360度画像がコンシューマに広がらない要因だと考え、360度の本来の魅力である「360度で見る」ための一つの手段として、QRコードを使ってシェアを手軽にしているとのことです。
スマホの基本アプリから、theta360.comにアップロードし、生成されたURLをQRコードにして、それを読み込んでもらって見ていただくそうです。
theta360.comにアップロードした画像は1枚ごとの限定公開ができないため、Momento360というサービスを使う事で、限定公開が可能になる事も教えて頂きました。
また、現状のTHETAを手に触って見られる場所がないので、デジタルフォトブックを販売しているようなお店に置いてもらうなど、実機を体験できる場所は必須なのではないかと言うご提案もいただきました。
お時間になり記念撮影をして終了となりました。
いけださん、盛りだくさんのお話をありがとうございました。これからも一緒に360度を広めて参りましょう!(坂本)
パノラマフォトグラファー兼プログラマーのいけだじゅんじさんインタビュー記事のご紹介