リコーでは、360度カメラRICOH THETA(ハードウエア)とデジタルサービス(ソフトウエア)の両方を開発できるリコーならではの強みを活かし、サービスを強化しています。今回は、リコーグループ内での活用事例として「360度映像でのストリーミング配信」の事例を一部ご紹介したいと思います。

ストリーミング配信では、RICOH 4K Live Streamingサービスを用いて、THETAで撮影した360度の映像を遠隔の方々にリアルタイムで見てもらうことができます。今回は「入社式」「工場安全監査」「工場見学」の3つの事例をご紹介します。

1.入社式を360度映像でストリーミング配信

まず1つ目はリコーの入社式での活用事例です。

リコーは2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、従来型の一堂に会して実施する集合型の入社式を中止し「個別入社式」へと切り替えました。

「個別入社式」とは、創業の精神「人を愛す」を原点に、「社員を大切にしてきたリコーらしい思い出に残る入社式」をコンセプトに、感染症対策に十分に配慮した上で、山下良則社長が一人一人に、”入社おめでとう”と”入社ありがとう”を伝え、双方向で言葉を交わす形式で実施されています。

2022年度の入社式では79名の新しい仲間を迎え、その様子を4K Live Streamingサービスを使い、360度映像で配信しました。従来の入社式ではできなかったご家族の見学。今年は「大学時代から離れて暮らしているので、成長している姿が見られて良かった」「会場の様子が分かり、臨場感があった」などの喜びの声を多く頂きました。

2.工場安全監査での活用事例

2つ目は工場の安全衛生活動(リコーグループOSHMS適合認定評価制度、以下安全衛生監査)での活用事例です。

リコーグループでは日本国内に13の工場がありますが、コロナ禍で工場の安全衛生監査の実施がままならない状況になりました。2020年度は遠隔でも監査が出来るように、パソコンを工場に持ち込み、パソコンのカメラに映して監査したり、社給スマホが使える工場ではスマホのカメラを用いたり、ヘルメットの上にカメラを付けたりして現場を撮影し監査をしていましたが、これらのカメラでは映る範囲が限られているため、監査する側の視点が自由ではなく、また、監査員の指示に従っていろいろな場所を映さなければならない現場スタッフも大変でした。そんな中、職場の安全衛生巡回で360度カメラ RICOH THETAの活用事例を聞き、工場の安全衛生監査でも利用できると考え、RICOH 4K Live Streamingサービスを活用することにしました。

<RICOH 4K Live Streamingで監査中の様子>

THETAを使うことにより「それぞれの監査員が視点を自由に動かして確認できる」「記録を残して後から必要な場所を確認することができる」「360度映像から必要な部分を切り取って報告書などに活用できる」「メンバー全員が工場に集まる必要が無いため出張経費を削減できる」「新任監査員の教育ツールとして動画教材にできる」など、多くのメリットを確認できました。

今後もオンラインとオフラインとを上手く組み合わせながら「ハイブリッド型監査」として活用していく予定です。

3.工場見学での活用事例

最後にご紹介するのは工場見学での活用事例です。

リコーグループの製造拠点であるリコーインダストリー東北事業所(宮城県柴田郡)は、デジタルマニュファクチュアリング(DM)を開発・実践する国内工場として、DM全般のユースケースの社内実践を積極的に推進しています。リコーは2021年3月から、同事業所にスタンドアロン型ローカル5G環境を構築し、検証と関連する技術開発を進めています。

5Gの高速大容量を生かした活用事例として、生産現場の天井に360度カメラRICOH THETAを吊り下げ、カメラのユニットはレールによる移動機構を備えました。遠隔地の視聴者は、手元のデバイスで自由に視点を操作し、拡大縮小して視聴できるため、まるでその場にいるかのように見たいところを見ながら移動し、生産ラインを見学することでできます。

また、このストリーミング配信を実現しているRICOH 4K Live Streamingサービスは、主催者が視点を固定させることも出来るので、見学者に見てもらいたい所は視点を固定し、見学者全員に同じ場所を見てもらうことも出来ます。

<360度ライブリモート工場見学の様子(動画)>

以前は、リアルでの工場見学で受け入れられる人数は1回に最大30名ほどでしたが、ストリーミング配信をすることで1回に100名を受け入れたこともありました。

また、工場は組み立てに必要な機材や部品などが置かれているため、入れないところや見られないところが多くありますが、天井から吊り下げる形でのストリーミング配信により、通常なら見られないところも見ることができ、現場よりも臨場感ある工場の見学ができるとお客様からも大変好評を頂いています。

以上、3つの活用事例を紹介させて頂きました。

きっかけは、コロナ禍で人との接触を避けるために始まった取り組みであったとしても、360度映像を活用することによって、撮り逃し無く記録を残せる、時間や場所に制約されずに遠い地域からも参加できるなど、より便利になることが分かりました。

withコロナでニューノーマルな日常を送るにあたり、THETAで撮影した360度映像のストリーミング配信サービス(RICOH 4K Live Streaming)を有効に活用頂き、快適な働き方に少しでも貢献できればと思います。

■参考
RICOH 4K Live Streamingサービス
PR Times:リコー、ローカル5Gを活用したデジタル技術を製造工程に実装

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