2019年8月28日(水) 東京都渋谷区にて、「CHALLENGE TO SPACE – 技術の力で、まだ見ぬ未来を創造する – RICOHとJAXAの共同開発によるTHETA ISS(国際宇宙ステーション)船外 搭載 発表会」を開催いたしました。
当日はJAXA 宇宙探査イノベーションハブ 副ハブ長 川崎 一義氏、JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 主任研究員 澤田 弘崇氏をお迎えし、共同開発の背景や、その他今後の取り組みなどについて、プレゼンテーション、およびパネルディス カッションを実施しました。
まずは株式会社リコー代表取締役 山下 良則より、「リコーの イメージング技術が宇宙にもたらすもの」についてのプレゼンテーションを実施しました。
「宇宙空間は人類にとってまだまだ未知の領域です。この 挑戦によって、空間を キャプチャする価値を突き詰めることで、例えば宇宙飛行士や、国際宇宙ステーションの「目」として、あるいは、宇宙を走るローバーや衛星からの「目」として、活用の場を広げる可能性を秘めています。さらに、その「目」としての可能性はもちろん、宇宙だけではなく、地上でも広がります。例えば交通インフラや、工場の製造工程の監視。自動車の自動運転。また、街を見守る「目」となって、安心、安全な社会を支えることも可能になります。このように、イメージング技術を活用した今回のプロジェクトは、想像力の結集を促し、未来を変革していく大きな一歩であると考えています。」
「リコーが市販する小型の全天球カメラ「RICOH THETA」をベースに、宇宙環境に耐えるための対処を行っています。
具体的には、宇宙空間の温度、放射線、打ち上げの振動などに耐えるため、外部筐体をアルミニウム合金で製作しました。宇宙空間で使用可能な全天球型360°カメラをJAXA様と共同開発しました。宇宙で使われる、世界最小の360°カメラとなります。」
「イメージング技術を活用した今回のプロジェクトは、想像力の結集を促し、 未来を変革していく大きな一歩であると考えています。我々のメッセージを込めたプロダクトが、宇宙でどのような価値を生み出していくのか、ご期待いただければ幸いです。」
続いて、JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 主任研究員 澤田 弘崇様 より今回のプロジェクトについての経緯、開発でのハードル、宇宙空間での可能性についてお話しをいただきました。
「探査の世界では、質量・サイズにとにかく厳しい制約があり、小型軽量化するためには民生品のカメラの中から宇宙で使えるものを選ぶ必要がありました。 そんな中、2013年に発売されていたリコーシータに注目しました。」
「THETAは小型で薄く、厳しい制約条件の中でも宇宙に適用できるポテンシャルを持っていました。宇宙空間で全天球撮影するにあたっては、いくつかの技術的課題があり、探査ハブの関係者を通じてリコーの担当者を紹介いただきました。始めはリコーの開発の方も、宇宙という未知の環境への対応に戸惑われていましたが、具体的技術課題とTHETAのポテンシャルを共有しながら開発を進めてきました。
二人のプレゼンテーションの後、株式会社リコー 執行役員 大谷 渉とJAXA 宇宙探査 イノベーションハブ 副ハブ長 川崎 一義様を加え、開発秘話や今後の可能性についてパネルディスカッションを行いました。
川崎様「これからの宇宙探査ロボットは小型化・軽量化が重要であり、その中で最大の情報を得る必要があります。小型全周カメラはその解となりうる。小型全周カメラを人工衛星やISSの外壁に配置できれば、不具合やデブリなどが当たった際の状況把握に有益です。」
大谷「THETAが宇宙空間に対応できるか不安があったが、やってみる価値があると判断しました。ISS搭載に向けて様々な技術課題に対応したが、それらは今後の商品開発に活かしていきたい。」
最後にフォトセッションです。
左からJAXA 川崎氏、澤田氏、リコー山下、大谷
その後、リコー山下、大谷に加え、今回のJAXA 様との共同開発を実際に担当した リコーTHETA 開発部 開発 3 グループリーダーの吉田彰宏の 3 名で出席頂いた記者の皆さまからの質問にお答えしました。
宇宙空間で使用可能な全天球型360°カメラは2019年9月11日に打ち上げられる宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機で打ち上げられます。国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」に搭載され、360°の全天球静止画・動画を撮影し地上に送信する予定です。
映像は>こちらから紹介予定です。
ぜひ、THETAが撮影した宇宙の映像をお楽しみに。(大原)
<会場の様子>
リコーニュースリリース
https://jp.ricoh.com/release/2019/0828_1/