RICOH360が描く未来シナリオ

vol.4 RICOH360 Town ~非日常と日常はつながっている~

 

 このシリーズでは、RICOH360が描く未来シナリオを紹介していきます。

 360度全体を記録・分析する技術が社会や人々の生活にどのように貢献できるか、実現した世界がどのような世界になるのかを紹介します。
 このシナリオはRICOH360の価値、あるべき姿を検討する次世代を担うメンバーによるワークショップにより作成されたものです。

自然災害の頻発・激甚化が進む日本

 日本は災害大国と呼ばれるくらい、地震、台風、豪雨、火山の噴火などが、毎年のように起こっています。日本だけでなく、世界的にも自然災害は増えてきていることから、地球規模での災害が日常化してしまう恐ろしい状況になりつつあります。

世界気象機関(WMO)2021報告書:1970年から2019年までの気象災害の影響

 自然災害を100%防ぐことは難しいですが、被害を少しでも少なくする減災 を行なうには、災害情報を迅速に提供し、避難行動を促進することが大事だといわれています。 そして「災害情報を迅速に提供し、避難行動を促進する」には、災害時に、自治体や防災関連機関等が町の状況を把握して適切な情報を住民に提供し、住民の安全を確保すること、また、情報を得るべき住民が災害情報にアクセスできることが必要です。

災害現場の状況把握は難しい

 以下のグラフは自治体の防災・災害対応に関連する従事者に、防災対応の課題について調査したものです。  防災・災害担当者の42%が「初動対応が迅速にできない」ことをあげ、76.1%が情報の把握や伝達に関わるもの(「刻一刻と変化する状況を把握することが難しい」「情報の正確性を確認することが難しい」)をあげています。 また、住民の要望としても「正確で迅速な情報提供」が52%でトップに上っています。

図2-1
「自治体の防災対応での課題」に関する調査(災害発生時に直面する課題)

図3-1
 「自治体の防災対応での課題」に関する調査(住民からの要望と対応)

 しかし、状況を把握する地方公務員は、保健衛生、土木を中心に、人手不足の状態が続いており、改修はおろか、状況調査にも人を割けない状態です。

 2000年代に地方歳出削減、業務範囲縮小、ICTでの効率化を理由に大幅な削減が行われたため、2045年には地方公務員の充足率が大規模自治体80%、中小自治体は60-70%と予測されています。

若い住民は防災情報にアクセスしていない ~防災への意識~

 減災に必要なもう一つは「情報を得るべき住民が災害情報にアクセスできること」があげられています。 特に若い住民を中心に防災情報にアクセスしていないということが調査からわかっています。

図4-1
ハザードマップに関するアンケート調査

 自治体、地元の自治会は、住民の意識をあげるための様々な取り組みをしていますが、集まりには決まった人しか来ない、マンネリ化する、若い人はあまり来ないといった問題があります。

RICOH360 Town ~非日常と日常はつながっている~

 我々は以上の課題を解決するコンセプト「RICOH360 Town」を考えました。

  • 360度の画像や映像で広く街の状況を把握分析して人手を介さずに必要な情報を得られるようにする
  • 日常的に街の状況を把握し、普段のリスクや住民の役に立つ楽しい情報も伝えることで、日常的に住民にアクセスしてもらい、いざというときにもアクセスしてもらえるようにする  
  • 360度の画像や映像で広く街の状況を把握分析することで人手を介さずに必要な情報を得られるようにするために

 「災害現場の状況を把握」の課題に対しては、少ない台数で広く、漏れなく現場をとらえることができる360度カメラを活用することによって、通常のカメラで撮影され切り取られた一部の情報よりも現場の状況全体をとらえることができ、さらに、リコーのAI画像処理技術による物体認識や分析技術、センサーによる測定情報を組み合わせて、現場で起きていることを精細に読み取ることで解決することができるでしょう。また、これらの情報を集約するデータベースとSNS等を連携させることで、人手を介さなくても、現場の様々な状況を住民が把握できるようになります。

  • 日常的に住民にアクセスしてもらい、いざというときもアクセスしてもらえるようにするには

 「若い住民が防災情報にアクセスしていない」課題については、普段から生活に役立つ情報も提供することで、若い世代や子育て世代が日常的にアクセスしてくれるのではないかと考えます。 例えば、危ない通学路や工事情報など、普段の生活でのリスクも把握し、住民に共有できるようになれば、子育て世代も普段からこのような情報にアクセスするのではないでしょうか。自治体の業務も効率化できるでしょう。 さらに、地域の生活の楽しみとなるような情報も把握し、伝えられれば、さらに興味をもってもらえるかもしれません。商店街のお店がオープンしたといった情報や公園の開花状況などです。例えば、公園の桜の開花状況がわかれば、週ごとに開花状況の違う公園を親子でめぐったり、お友達と出かけたりできます。公園のにぎわいや混み具合も行く前にわかったら便利ですよね。

図5

システムに求められる信頼感

 普段からカメラが撮影している状況はプライバシーの問題、住民の心的負担があるかもしれません。そこには物体認識技術による解決といった技術の出番があります。しかし、何より、このシステムが普段の生活と災害時とで役立つものだという信頼を住民から得られることが必要になると考えます。

 このように日常と非日常の情報を集めて住民に提供できるシステムの実現には課題がありますが、360度画像映像とそれを扱う技術を活かして災害大国日本の住民を守るための一助になれればと思います。

そしてRICOH360が、技術で仕事と生活の課題を解決するとともに、利用者の信頼を得られるようなブランドになりたいと考えています。

文:かわせみ(ペンネーム)


 RICOH360が、どのように社会に貢献できるか、未来志向で議論したアイデアを紹介しました。

 我々は社会や未来に貢献するブランドとしてRICOH360を展開していきます。

REFERENCES

https://www.bbc.com/japanese/58417481

・廣井脩編著『災害情報と社会心理』北樹出版,pp.153-173,2004

 廣井脩氏は当時東京大学で災害情報の研究をされており、この分野の第一人者。大地震を100%防ぐ手段はないが人的被害を減少させる事は可能と考えていた

・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000016808.html

・「地方自治体の人手不足の現状把握と課題」JRIレビュー, 2021,

 https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/12542.pdf

・防災ジオラマ推進ネットワークによるハザードマップに関するアンケート調査(2019 )

 https://www.bosai-diorama.or.jp/2019/02/21/%E3%80%90%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%80%91%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%81%E5%86%85%E5%AE%B9%E6%8A%8A/#:~:text=%E8%BF%91%E5%B9%B4%E3%81%AB%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%82%92,%E3%81%A7%E3%81%AF10.4%EF%BC%85%EF%BC%89%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A9%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%80%82