RICOH360が生み出す普遍的な価値
360度の画像を活用した「業界横断型プラットフォームサービス」がRICOH360だ。
ワンショットで360度画像が撮影できる小型デジタルカメラRICOH THETA(リコーシータ)や、リコーが長年培ってきた画像処理技術など、リコーならではの技術力とサービスにより、ハードウェア、アプリケーション、クラウドサービスを一気通貫で提供する。
今回は、業界横断型プラットフォームサービス RICOH360の事業責任者である大谷 渉に、RICOH360の価値や今後の展望について語ってもらう。
経歴
1985年 リコー入社
1985-2000 研究開発部門で生産技術を担当。開発者として3つの部品・製品の実用化に携わる
2000-2004 技術企画を中心に経営企画部門と関わり、各種提案を行う
2005-2011 研究開発部門で技術発の事業開発に取り組む
2012-2016 全社の新規事業開発担当
2017- RICOH360事業 担当
360度の画像の価値とは?
2013年に360度カメラRICOH THETAを世界で初めて発売した(※)時から、360度の画像には「時空を超える」という価値があると思っている。360度の画像は、景色から切り取られた通常のカメラで撮影された画像ではなく、その場の空間すべてを記録するので、まるでその場にいるような臨場感を味わえる。
例えば、建設中の建物内部で定期的に同じ場所を撮影すると、完成に至る過程を360度画像で記録でき、時間を超えてその場所を行き来することができる。また、都市開発も同様で、街全体の変化を360度で記録できれば歴史的な価値を持つだろう。その他には、誰もが気軽に行くことができない場所を360度画像で記録しておけば、人々は空間を超えてその場を体験することができる。例えば宇宙、エベレスト山頂など。これらは普遍的な価値といえる。
※コンシューマ用途として
普遍的な価値をRICOH360で提供
先行きが不透明で将来の予測が困難な中で、人は変わらないもの、普遍的な価値を求める。それはいつの時代も変わらない。
私が新規事業を創出する仕事を始めて20年あまり、この「普遍的な価値」の追求は常に私の道標であり続けている。その「普遍的な価値」は、不確実な時代であればこそ、よりその価値を増すと信じている。
RICOH360は、その「普遍的な価値」の実現のために、SaaS(Software as a Service) + a Box(ハードウェア)というビジネスモデルで提供している。要は入口から出口まで、360度画像に関わる価値を全て一気通貫で提供する、ということだ。
スマートフォンが分かり易い例だが、私たちは物理的な存在であるハードウェアを介してあらゆるサービスに接続する。21世紀はハードウェアとサービスが不可分の時代。車も家も、冷蔵庫もエアコンも、あらゆるモノが通信によってサービスと融合した社会システムを形成するだろう。その「ハードウェア」と「サービス」が一体となったビジネスモデルを表すのがSaaS + a Box。これが出来るのも、リコーという会社が、ハードウェアだけではなく、常にソフトウェアやサービスビジネスも手がけてきた基盤があってこそだと考える。
RICOH360はハードウェア(THETA)とクラウドを直接つなげ、クラウド上にもう1つのTHETAを仮想に構築する(デジタルツイン)。これにより、THETAで撮影した画像は特別な操作をしなくてもクラウドに保存され、タイムリーに必要なメンバーと共有することができる。また、クラウドを介して何十台、何百台ものTHETAを最新のファームウェアに更新したり、面倒な機器管理をコントロールしたりして管理者の負担を軽減することができる。
不動産業や建設業、観光業など360度を活用してサービスを提供しているサービスプロバイダーは、Cloud APIを介してRICOH360を活用できるようになる。
いくら360度画像の価値が普遍的であっても、それを使いこなすためには特有の技術が必要だったり開発に時間がかかったりしては活用が進まない。そこを我々、RICOH360がサポートする。
リコーは360度に関わるハードウェア、画像処理、アプリケーションからクラウドサービスまでを一気通貫で提供できる稀有な企業であると自負している。
今後の展望
RICOH360の「時空を超える」は、グローバル共通の価値である。これを地域や分野に応じて柔軟に進化させていくためには、仲間づくりが必要と考える。
仲間づくりにおいて重要なことが、360度画像の価値や可能性を理解し、そのデータ活用によって社会をよりよくしていくことを目指すというビジョンの共有である。
視点を変えることで、誰もが中心に立てるのが360そのものの魅力であり、RICOH360の可能性である。私たちが想像もしなかったようなアイデアが加わっていくダイナミズムへの期待がそこにある。そうして広がる共創の場が、よりよい社会を希求する、ポジティブな志が集まる場になって欲しいし、その一役を担っていきたい。