プラグインとは、カメラの中に新しいアプリケーション(機能)を追加拡張することが出来るソフトウェアです。RICOH THETA VやTHETA Z1、THETA XにはAndroidベースのOS(Operating System)を採用しており、スマートフォンにアプリをインストールして新しい機能を追加するように、カメラの中にも後から様々な機能を追加できるようにしています。
2022年10月13日に公開したTHETA Plug-in 「Route Shooting BETA」「Outside-in Shooting BETA」は、従来の再生方法とは異なる360度の新しい映像体験を提供するプラグイン※です。今回は、これら2つのプラグインについて、機能の特徴と操作方法を詳しくご紹介いたします。
※ 2023年2月現在の対応機種はRICOH THETA Xのみです。
まず「Route Shooting BETA」では撮影した軌跡を表示するハイパーラプス(タイムラプスに動きを加えたもの)作成することができます。
次に「Outside-in Shooting BETA」ですが、こちらは被写体の外周を見渡すことができる360度静止画を作成することができます。
これらのプラグインは、ともにカメラから得られた映像データからカメラの位置情報を推定する「Visual SLAM」という技術が使われています。
位置情報と言えば、一般的にはGNSS(日本ではGPS)という人工衛星を利用した測位システムをイメージされる方が多いと思います。「Visual SLAM」のメリットは衛星から位置情報を取得せずに自己位置を推定できるので、GNSSと比べて時間がかからないことです。
ではそれぞれの機能と使い方を詳しくご紹介していきましょう。
1. Route Shooting BETAの紹介
2. Outside-in Shooting BETAの紹介
3. PC基本アプリによる「Route変換(β)」「Outside-in変換(β)」について
4. まとめ
1.Route Shooting BETAの紹介
「Route Shooting BETA」では、撮影した軌跡を表示するハイパーラプスを作成します。
再生時にはスタート地点からゴール地点までのハイパーラプスだけでなく、ゴール地点からスタート地点までという逆再生も可能です。軌跡の任意の位置まで移動することもできます。
このプラグインを使用することで建築現場などの現地調査や、イベント会場での撮影などにも活用することができます。
【操作方法】
-起動
カメラの撮影画面で左方向にスワイプしてプラグイン選択画面を表示し、「Route Shooting BETA」をタップします。
-撮影設定
・セルフタイマーボタンをタップすると、OFF、2秒、5秒、10秒から選択できます。
・動画サイズは4K(3840x1920)15fpsで固定されます。
-撮影
シャッターボタンを押すか、画面中央付近の枠をタップすると撮影が始まります。
撮影を開始したら歩いて移動を始めてください。
画像から位置を認識しますので、移動するときに周囲に特徴のあるものが写り続けるようにしてください。
再びシャッターボタンを押すか、画面中央付近の枠をタップすると撮影が終わります。
「チュートリアル動画」
https://youtube.com/shorts/YsyQ-VNE53s
-再生
撮影後に表示されるサムネイルをタップするか、プラグインを終了して再生画面のシングルビューでViewボタンをタップすると再生されます。
再生中に表示される移動軌跡表示は、縮小ボタンをタップして非表示にすることも可能です。
「G」ボタンを押すと撮影終了地点へ、「S」ボタンを押すと撮影開始時点へ視点が移動します。視点の移動中に画面をタップすると移動を停止します。
作例サンプル
2.Outside-in Shooting BETAの紹介
「Outside-in Shooting BETA」では被写体の外周を見渡すことができる360度静止画を作成することができます。
THETAで被写体の周りを囲むように動画を撮影すると、THETAが自動でその被写体を検知し、左右にスワイプすることで被写体を回転できる360度映像を作成することができます。
【操作方法】
-起動
カメラの撮影画面で左方向にスワイプしてプラグイン選択画面を表示し、「Outside-in Shooting BETA」をタップします。
-撮影設定
・セルフタイマーボタンをタップすると、OFF、2秒、5秒、10秒から選択できます。
・動画サイズは2K(1920x960)30fpsで固定されます。
-撮影
シャッターボタンを押すか、画面中央付近の枠をタップすると撮影が始まります。
撮影が開始したら、撮影したい物体の周りを歩いて移動を始めてください。
画像から位置を認識しますので、移動するときに周囲に特徴のあるものが写り続けるようにしてください。
物体の周りを一周歩いたら、再びシャッターボタンを押すか、画面中央付近の枠をタップすると撮影が終わります。
「チュートリアル動画」
https://www.youtube.com/shorts/uNvedJci6LA
-再生
撮影後に表示されるサムネイルをタップするか、プラグインを終了して再生画面のシングルビューでViewボタンをタップすると再生されます。
シングルビューを左右にスワイプすると視点が移動します。
作例サンプル
3.PC基本アプリによる「Route変換(β)」「Outside-in変換(β)」について
これまではRICOH THETA X用のプラグインを利用して映像を作成する方法を紹介しましたが、それ以外の機種で撮影した動画においても、パソコン用基本アプリの変換機能を利用して同様の映像を作成することができるようになりました(バージョン3.18.0以上)。
■Route変換(β)
移動しながら撮影した動画に対して、移動軌跡を表示し、選択した地点までハイパーラプスのように見られるようになります。
【操作方法】 (画面上の例はWindowsの場合です)
・パソコン用アプリ「RICOH THETA」を起動します
・RICOH THETAで撮影した360度動画をドラッグ&ドロップします
・[ツール] →[Route変換(β)]を押します。
・変換された動画が出来上がります。これをパソコン用アプリ「RICOH THETA」で見ることでRoute動画が再生できます。
■Outside-in変換(β)
被写体の周囲を回りながら撮影した動画に対して、被写体をいろいろな方向からコマ送りするようにして見られるようになります。
※RICOH THETA(全機種)で撮影した動画ファイル(1280×720サイズの動画は除く)に対応しています。撮影環境や条件によっては書き出しできない場合があります。
【操作方法】 (画面上の例はWindowsの場合です)
・パソコン用アプリ「RICOH THETA」を起動します
・RICOH THETAで撮影した360度動画をドラッグ&ドロップします
・[ツール] → [Outside-in変換(β)]を押します。
・変換された動画が出来上がります。これをパソコン用アプリ「RICOH THETA」で見ることでOutside-in動画が再生できます。
4.まとめ
以上、「Route Shooting BETA」「Outside-in Shooting BETA」のプラグイン紹介、並びにパソコン用アプリを使用しての「Route変換(β)」「Outside-in変換(β)」の紹介をさせていただきました。
これらの機能は静止画と動画の中間の位置づけとして活用できます。
静止画では表現できないが、動画で撮るには容量的にも残るデータの取り扱いとしても無駄なものが多すぎるため、ピンポイントでルート(軌跡)の撮影をしたい場合や、被写体の外周から撮影したい場合に役立ちます。
是非、一度お試しください!