RICOH360が描く未来シナリオ

Vol.2 生産者と消費者をつなぎ新しい”ご縁”をソウゾウする

 

 このシリーズでは、RICOH360が描く未来シナリオを紹介していきます。

 360度全体を記録・分析する技術が社会や人々の生活にどのように貢献できるか、実現した世界がどのような世界になるのかを紹介します。
 このシナリオはRICOH360の価値、あるべき姿を検討する次世代を担うメンバーによるワークショップにより作成されたものです。


 最近は、都市部で働きながらも週末はシェア田畑で農業をしたり、ベランダ菜園や食育体験へ家族で参加したりする方も多いのではないでしょうか。また、実家では家族が農家を営んでいるという方も。農業は都市部で働く人にとって遠い話ではなく意外と身近な話かもしれません。

 私たちは農業に関する課題と5年後の未来をソウゾウしてみました。

農業に関する課題とは何か

 農業、林業、及び漁業から成る第1次産業の現場では、高齢化や産業人口の減少が大きな課題です。平均年齢67歳。60歳以上が6割を占めているという実情。第一次産業に従事している人口はこの20年間で2/3以下へ減ってしまっているという統計もあります。農業に関わる人材や後継者不足も深刻な問題となっており、少ないリソースで生産性を上げる「効率化」が求められています。

 また、地方自治体ではどうでしょうか。耕作放棄地は1年当たりJR山手線内側の面積の1.4倍に増加する年もあり、琵琶湖の面積の5.7倍とも言われています。同時に人口減少による税収減。人が都市部に移動してしまい、減った人を補うために観光資源を活用した町おこしに力を入れるも、農業の活性化には課題を残している自治体も多いのではないでしょうか。

 最後に私たち消費者の課題。自然や農業、自分たちが口にする食べ物について知らないことも多く、またその知識を得るための教育・体験機会が十分にあるとは言えません。自然の中での活動や農業体験など、自ら見つけ参加するまでにも、距離や時間、費用など様々な問題をクリアしなければいけません。

発想の転換をしてみよう。私たちに何ができるか。未来についてソウゾウしよう。

 課題解決のために何ができるか。発想の発散を。もっと本質的で社会的な課題を解決できるものをソウゾウしたい。私たちは考えてみました。 農業の本当の課題とは何だろう?私たちは一つの仮説を立てました。

「消費者が、生産者や農作物、畜産物のことをもっと知ることができれば、農業の活性化に繋がるのではないか」

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 例えば、消費者がスーパーでお肉を買う時、最近では産地や生産者のこと、生育方法などを表示しているお店が徐々に増えていますが、まだまだそこまで理解して購入していない人も多いと思います。自分たちや大切な家族が普段口にしているものを、どこで誰がどのように作ったのかを知らずにいる、ということは思っている以上に危機的な状況かもしれません。

 一方で生産者側も、消費者に十分情報を届けられる状況にないケースもあります。リコーの技術で生産者側の情報を共有し、生産者と消費者との距離を近づけることができれば、農業の持つ課題解決に繋がるのではないかと考えました。

360度 + ご(5)縁= 365日、ずっとつながるサービス

 RICOH360のデバイスである360度カメラRICOH THETAと、その撮影データを活用したサービスがあれば、生産者と消費者を360度で365日つないでいくことが可能になります。

 例えば、農場や牧場にはその土地の風土があり、当たり前ですが春夏秋冬があり、晴れの日も雨の日もあります。そう言った環境で牛が生育されていく。つまり命を受けて誕生していく牛の一生がありライフイベントがある。畜産物のため、最終的には加工され消費者に届いていく。RICOH360なら360度カメラのTHETAで撮影した映像を用いて、現場のリアリティを多角的な視点、継続的な視点で捉えることができます。365日、生産者と畜産物のライフイベントを360度映像で見ていただくことで、生産者と消費者の継続的な関係、それはまさに「ご縁」という関係を作り出します。

 また、子供のころに行われる林間学校や農業体験授業で自然や生命の大切さについて勉強をする機会があります。しかしせっかく良い学びを得ても、1回きりの関係で終わってしまっているのが現状ではないでしょうか。RICOH360なら360度映像を通じて生産者と消費者を長期的につないでいくことができるのです。

360度のつなぎ方(一例)

 では、どうやって360度でつなぐのか。これは一例ですが、360度ライブストリミーングプラットフォームで実現する方法を考えました。

360度のつなぎ方

 消費者は食育のコンテンツとして好きな時に閲覧することができます。生産者と消費者を繋ぎ、コミュニケーションが産まれていくような関係づくりとしての仕組みとして、チャットや直線的な資金援助ができる投げ銭機能、その生産者から直接購入ができる直販ストア機能などが付いたら素敵ではないでしょうか。ふるさと納税を取り入れて応援しても良いでしょう。

 一方、このサービスでは、生産者も「360度遠隔確認システム」として、家畜やビニールハウス内の農作物の生育状況を遠隔でモニタリングできるので、作業効率の一助になり得ます。

360度でつながった世界

 消費者は、食に関する知識や体験が増えて食育の観点が増えていきます。アニマルウェルフェア、フードロス、本当は形の変わった野菜が本来の野菜の姿である、という気づきの場を作ることができれば私たちは嬉しい。自分たちが360度映像配信を通じて見てきたもの、大きく育ってきた牛の命をいただくことができるのかもしれない。地方の農業に参加していくことで、物を見る目、目線が育ち、消費行動が変化することでしょう。

 生産者は、遠隔現場管理による効率化、人手不足解消などの業務改善ができることはもちろん、直販でものが売れるということは、お客様の声を直接聞きながら自分の農場や風土にあった個性的な作物を育てられることにつながります。

 また、地方自治体にとっては、RICOH360の取り組みで現地に興味を持った人が実際に旅行であったり移住であったりとその場所に訪れるかもしれません。そこまでではなくとも、直接その生産者からものを買ったりその土地を応援・支援たりしてくれる関係人口の増加が期待できます。

 私たちがソウゾウする5年後は、生産者と消費者の垣根はなくなり、360度映像を通じていつでもご縁が生まれ続ける未来です。

私たちはソウゾウし続けます

 今回私たちは「生産者と消費者との関係性」に課題があると仮説を立てました。これは一例に過ぎません。消費者の本当の課題は、費用かもしれない。生産者の本当の課題は、生産性かもしれない。私たちはこれからも仮説と検証を繰り返し、私たちの製品とサービスでより良くなる未来を模索し続けます。

文:トミー(ペンネーム)


 RICOH360が、どのように社会に貢献できるか、未来志向で議論したアイデアを紹介しました。
 我々は社会や未来に貢献するブランドとしてRICOH360を展開していきます。

REFERENCES

変化する産業・職業構造 - 総務省統計局

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/final/pdf/01-08.pdf

農林水産省 農業労働力に関する統計

https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html

https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2020.asp?fname=T08-07.htm

産業別就業者数の推移(第一次~第三次産業) 1951年~2021年

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html

農林水産省 耕作放棄地の動向と担い手への農地利用集積の促進

https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h18_h/trend/1/t1_2_2_03.html

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