リコーがオフィシャルパートナーとして支援する日本科学未来館(Miraikan)で、2023年3月18日(土)~26日(日)の9日間に渡り、360度映像を活用したSDGsに関するイベント「360度映像で体験するSDGs~遠くの国の課題も同じ地球のできごと~」が開催されました。
このイベントは、途上国のなかでも「最も支援が届きにくい」と言われている地域の生活状況をVRで体感するなどして、さまざまな社会課題とその解決への取り組みを知り、SDGsについて学び、考えるきっかけを提供するものです。
この展示会場のバーチャツツアーを「バーチャルツアー作成サービスTHETA 360.biz」を使って作成しましたのでご紹介します。
また、この企画を担当した株式会社リコー コミュニケーション戦略センター メディアデザイン室の佐々木さんに、企画の背景や360度映像の価値、活用方法について伺いましたので、こちらもご紹介したいと思います。
まずは展示会場のバーチャツツアーをご覧ください。
今回のイベントの目玉は「360度映像のVRで体験するSDGs」です。上記バーチャルツアーの「②VR for SDGs(VRゴーグル)」エリアでは、VRゴーグルを装着して360度の映像を観ることで、まるでその場にいるような没入感で社会課題の現場を体験できます。
「③SDGs課題パネル」では、水や衛生、電気などに関する途上国の課題を写真や文章で説明していますが、切り取られた写真では、どうしても社会課題に起因する特定の現象にフォーカスした写真になります。「②VR for SDGs(VRゴーグル)」では、360度の映像を用いることで、社会課題が起きている現場の状況をまるでその場にいるかのように見ることができ、どこが、またはどれが社会課題に起因している場所や状況であるのか?を探索することから始められます。社会課題の解決には、観察したり想像したりしながら社会課題と向き合い理解することが大切とされているため、360度映像はその一助となります。また、海外や遠方にある社会課題の現場に訪問することは時間的、経済的な理由や安全面からも容易ではありませんが、360度映像を観ることで様々な国で抱える社会課題の現場を知り、考え、行動するきっかけを得ることができます。
本企画を担当した株式会社リコー コミュニケーション戦略センター メディアデザイン室の佐々木さんに、この企画を考えた背景や360度画像の価値や活用方法について伺いました。
このイベントを企画した背景やきっかけは何ですか?
リコーが協賛している日本科学未来館での企画展を検討するにあたり、リコーの技術や製品を活用したいと思っていました。そんな時に、友人が創刊に関わっていたスタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版の創刊号で偶然、360度カメラRICOH THETAが活用されている事例を目にしたんです。それは国際NGOコペルニクが、シンプルなテクノロジーを届けて社会課題の解決をしていく活動の中で、360度映像を活用して社会課題の現場の理解促進やソーシャルイノベーションに繋がる意識啓発を実践している事例で、360度映像の制作でRICOH THETAが活用されていました。本当に素晴らしい活動だと思いましたし、その活動にTHETAが活用されていることをとても嬉しく思いました。そして、多くの方にコペルニクの活動や、360度映像で伝える社会課題の現場を知ってもらいたいと思い企画をしました。
このイベントを通じて伝えたいこと、こだわったところを教えてください。
私はコーポレートコミュニケーション部門でSDGsやESGに関する発信を担っていたこともあり、リコーが社会課題の解決に向けて、製品やサービス、社会貢献活動など様々な事業活動を通して貢献していることを伝えたいと思いました。また、最近はSDGsについて学ぶ機会がある学校も増えてきているようですので、学校で学んだことを学び直すきっかけになり、参加したお子さんが将来大きくなったときにこの体験を思い出して、何かに取り組むきっかけになれたら良いなぁと思います。
こだわったところは、観に来た人に情報を詰め込もうとするより、360度の映像を観て臨場感を味わってもらえるようにVRゴーグルで見ていただける場所をいくつか設けたところです。百聞は一見に如かずと言いますか・・・。360度の映像では、観る人によって気になるところが違うこともあり、人それぞれの発見があります。例えば野良犬が映っていて、それが危険であることが社会課題であったとしても観る側が「痩せていて可哀そう」と感じてもそれで良いと思っています。ありのままを感じて貰えれば良いし、正解というものを提示しないというか。
あとは、シンプルなテクノロジーで作られた浄水器や発電機などの製品を展示して、具体的な解決策を実際に見てもらえるようにしました。通常は社会課題の現場に行かないと見られないものですが、実際に展示することでリアルさを感じてもらいたいと思いました。
お陰様で、VRや360度映像はとても好評でした。VR体験を楽しみ、感動してくださった方も多かったですし、「普段関わることができない世界を、VRを使う事でよりリアルに感じることができました」などのコメントも頂くことができました。
360度映像の価値は何だと思いますか?
四角に収まった通常の写真に写っていることだけが真実じゃない、ということが伝わることだと思います。撮影する側の意図によって切り取られる写真や動画ではなく、ありのままを映すことで、どこを、何を見るかは見る側に委ねられている。そこに見る側の発見が生まれると思います。
また、誰にでも臨場感ある体験を提供できるのも360度映像の価値だと思います。
簡単には行けない途上国の社会課題の現場を360度映像で見ることができ、また、今回のイベンドで日本科学未来館に来られなかった人も、このバーチャルツアーを見ることでイベントに来たような体験ができます。もっと360度映像やバーチャルツアーが広がれば、いろいろな理由で遠出が出来ない人にも体験していただける機会が増えるように思います。
<参考>
・VR for SDGs(このイベントで使われた360度映像は、共催の一般社団法人コペルニク・ジャパンに協力を頂きました)
・イベント案内ページ:「360°映像で体験するSDGs~遠くの国の課題も同じ地球のできごと~」
・関連記事:コペルニク中村代表に伺う「360度カメラRICOH THETAを活用してSDGsに取り組んでいること」